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スモンに関する調査研究

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スモン(Subacute Myelo-Optico-Neuropathy: SMON)は1950年代から70年にかけて日本で多発した神経障害であり1)、典型例では下肢の痙性麻痺と深部覚障害による失調歩行、異常な冷痛感やビリビリとした異常感覚であり、2~3割に視覚障害が現れ、失明例もあった。当初は感染症などが疑われたが、整腸剤キノホルムによる薬害であることが明らかになり、スモン患者の恒久対策として、健康管理と疾患原因究明を目的として、『スモンに関する調査研究班』が設けられている。各都道府県に一人以上の班員を配置し、スモン患者の検診を通じて実態調査し、その結果を本症の医療・福祉施策に反映させている。同時に、医療・福祉相談に応じている。また、キノホルムの神経毒性についても、研究している。薬害の風化防止とよりよい療養のために、スモン患者や医療・福祉従事者を対象に公開講座『スモンの集い』を毎年、開催地を変えて催している。

疫学調査や動物実験により、キノホルムがスモンの原因であることは明らかにされてきた。最近の研究では同剤の神経毒性はNGFの障害や酸化ストレスによる可能性が考えられており、同剤がアルツハイマー病や悪性腫瘍への治療薬として試みる際に留意されなければならない。

キノホルム使用が1970年に禁止されてから、新たな患者発生は激減し、当初は研究班よって約12,000人の患者が把握されたが、2009年度当初は約2200人がスモン患者として健康管理手当を受給されており、これより若干多い患者数と考えられる。殆どの患者が訴える下肢の痛みや異常感覚に対しては、特効的な治療法はないが、ノイロトロピンやメキシチールが有効とされており、クロナゼパム有効例も報告されている。発症当初と比較して、臨床症状は改善してはいるが、患者は高齢化しており、本来の神経症状に加えて、種々の身体症状を併発し、特に運動器の過用性障害や感覚性失調により歩行障害が悪化している。また、うつや非幸福感の訴えは、他の神経難病や一般高齢者に較べて高く、客観的にも主観的にもADLは低下し、療養状況は悪化しており、高齢化に伴う医療・福祉対策が問題となっている。なお、スモンが薬害であり、恒久対策の観点から、スモン患者の治療費については、特定疾患治療研究事業として全額公費負担である旨が、厚生労働省より各都道府県宛に通達されている。

『スモンの集い』講演録や、『スモン患者さんへの訪問リハビリテーションマニュアル』などの小冊子は、国立病院機構鈴鹿病院内の「スモンに関する調査研究班事務局」に請求いただければ、配布する。