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混合性結合組織病の病態解明と治療法の確立に関する研究

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混合性結合組織病(Mixed Connective Tissue Disease: MCTD)は1972年に米国のSharpらによって提唱された病気の概念で、血液中の抗U1RNP抗体陽性と全身性エリテマトーデス(SLE)、強皮症(SSc)、筋炎(PM)様症状を合わせ持つ病像を特徴とする病気です。わが国では1982年に特定疾患に指定され、これまでの調査研究により我国では欧米よりも頻度の高い疾患であること、特徴的な臨床所見と抗U1RNP抗体とに密接な関連があること、 SLE、SSc、PMのいずれとも異なる独自の病像と自然経過を有すること、主な死因としての肺高血圧症(PH)が重要であることが明らかにされてきました。さらに、MCTD診断の手引き(粕川班1987)、PH診断の手引き(横張班1991)、MCTD治療指針(東條班1995)、PH治療ガイドライン(近藤班2004)が作成されたことは大きな成果としてあげられ、我国におけるMCTD診療の向上に大きく貢献してきました。私たちは第5代目の研究班として、2005年より歴代の研究班で未解決として残された課題の解決を目指して、MCTDの病態解明を追究し、治療法の確立と生命予後改善を目指しています。私たちの研究の一端を紹介します。

1. MCTDの肺高血圧症に対する副腎皮質ステロイド療法の検討(多施設共同研究)

多施設共同の前向き研究により、原病の疾患活動性がある場合にはステロイド療法がPHにも有効である可能性が明らかになりました。MCTDのPHは原発性PHと異なってステロイドや免疫抑制薬に反応する可能性があり、独自の治療指針を確立する必要性があります。

2. エビデンスに基づくMCTDの治療ガイドラインの策定

MCTDの治療に関する過去研究より現時点で最も信頼性の高いと考えられる治療法を整備して、エビデンスに基づいたMCTDの治療ガイドラインを作成しました。それぞれの治療法にはエビデンスレベルなどから勘案した推奨度を設定し、MCTDの治療ガイドラインとしては現時点で最良のものが作成されたと考えています。これにより全国での一定レベルの診療が可能となります。

3. MCTD診断基準の検証およびPH診断基準の改訂

MCTD班では1987年に最初の診断の手引き(診断基準)が策定され、1997年と2003年に改訂されています。また、1991年にMCTDに合併するPH診断の手引きが作成されました。これらのMCTDおよびPH診断基準の有用性を検証して、その結果を元に再改訂を検討しています。

4. その他の研究

1) 無菌性髄膜炎など中枢神経症状を呈したMCTD患者の髄液中抗U1RNP抗体による特異的診断と病態解析、2) MCTDのPHおよび末梢循環不全患者における抗アンギオテンシン変換酵素2抗体の発見、3) 肺の小血管障害を引き起こす抗内皮細胞抗体の対応抗原解析、4) マウスモデルを用いた抗U1RNP抗体産生機序の解明、5) MCTDに合併するPHの遺伝的要因と発症予測、6) PHと右室リモデリングにおけるHEXIM1の意義、7) PHにおける末梢血血管内皮前駆細胞の役割、8) MCTDのPH発症病態における血管増殖因子の研究、9) 心臓超音波検査によるMCTD-PHの診断、10) PHにおけるナトリウム利尿ペプチドの臨床的意義、11) PH膠原病症例における治療と予後に関する研究、12) 新しい肺血管拡張薬によるPHの治療法確立に関する研究、などが分担研究として推進されています。これらの研究は直ちに患者さんの治療につながるものばかりとは限りませんが、MCTDの病気を理解し新しい診断と治療法を開発するために必要な研究です。