難治性炎症性腸管障害に関する調査研究

一覧へ戻る

1. 「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班」とは?

炎症性腸疾患、中でもいまだ原因が不明で「難病」と呼ばれる潰瘍性大腸炎・クローン病についての調査研究をおこなう研究組織です。炎症性腸疾患は、ここ最近日本においても患者数が増加の一途をたどっており、今後もさらに増えることが予想されています。本調査研究班では、1) 炎症性腸疾患の患者さんの現状の詳細を全国レベルで明らかにすること、2) 現在取り入れられている治療をさらにより良いものにするための臨床研究をすすめること、3) 両疾患が起きるメカニズムの詳細を明らかにし、新しい診断法と治療法を開発するための研究をおこなうこと、4) これら調査研究班がおこなった研究の成果をいち早く患者さんとそのご家族、あるいは広く社会一般に公表していくこと、を目指した活動をおこなっています。

2. これまでの主な研究成果の概要

1) 我が国における炎症性腸疾患患者さんの現状調査のため、全国レベルでの疫学調査をおこなっています。患者さんの数、年齢分布、地域分布をはじめ、一度発症した方がその後どのような経過をたどっていくのかなどについての調査により、日本における最新の疫学指標が得られつつあります。2) 臨床研究のプロジェクトでは、我が国における炎症性腸疾患診療の専門家が集結し、患者さんがどの医療機関を受診しても最高水準の安心した医療が受けられるよう、適正な診断基準、治療指針、診療ガイドラインなどの改訂を随時おこなっています。また、新しい診断法や治療法を既存のものと比較する臨床研究を全国レベルでおこない、常に最新の医療を取り入れた指針づくりを目指しています。3) 研究の分野では、病気の発症に関連する環境因子・遺伝的素因を分子・細胞レベルで明らかにし、新しい診断法や治療効果予測法として利用する「疾患特異的バイオマーカー」研究に力を入れています。また、ダメージをうけた腸組織が再生・修復するメカニズムを利用し新しい治療に結びつける研究をおこなっています。本調査研究班でこれまでにおこなってきた研究は、すでに世界的にも認められる成果を生み出しており、国際的にも高い評価を得ています。4) 患者さんやご家族にむけた成果公表と広報活動のため、全国各地で市民公開講座を実施しています。また、新しく病気を発症された方々に潰瘍性大腸炎・クローン病を正しく理解していただき、社会支援制度を紹介させていただくための各種刊行物も作成しています。

3. 炎症性腸疾患の患者さん・ご家族へ

炎症性腸疾患は「難病」と言われますが、決して命を脅かす病気ではなく、適切に治療がおこなわれれば、多くの患者さんを「寛解」に導くことができるほど、医学・医療が進歩してきました。炎症性腸疾患を特殊な病気と考えることなく、病気をしっかりと理解し適切な治療を継続する、つまり「病気とうまく付き合う」ことで、多くの患者さんが普通の生活を送ることができるのです。われわれは、本調査研究班の活動が皆さんのより良い生活を送るための一助になることを願い、上に述べた研究活動や広報活動を積極的におこなっています。より詳しい情報をお求めの方は、下記のホームページをご参照ください。

4. 研究班のホームページ