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ホルモン受容機構異常に関する調査研究

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1. 研究班の紹介

本研究班は発足以来30年近くの歴史を持ち、当初は甲状腺・副甲状腺ホルモン、インスリンの3つのホルモン作用の障害に基づく難病を対象としました。その後、甲状腺ホルモンと副甲状腺ホルモンの作用異常および関連疾患の診断指針の策定や新たな治療法の開発などを目的とした班研究を推進し、現在に至っています。主任研究者に加え分担研究者10名、研究協力者6名で班研究を遂行しています。

2. 主な研究成果の概要

1) 甲状腺ホルモン作用異常症

TSH受容体に対する刺激抗体により発症するバセドウ病の急激な重症化で起こる甲状腺クリーゼは、一旦発症すると死亡率が高く重篤な例が多いとされてきましたが、実態は不明な点が多くありました。そこでその診断基準を策定し、これに基づき全国疫学調査を実施しました。今後その早期発見や予防に向けた診療指針や、診断後の治療指針の策定などを進める予定です。またバセドウ病に伴い発症し難治性のバセドウ病悪性眼球突出症についても診断・治療指針の作成を進めているほか、重度の甲状腺機能低下症により意識障害などの中枢神経症状を来す粘液水腫性昏睡についても診断基準の作成を進めています。また、甲状腺ホルモン受容体遺伝子の変異を持つ甲状腺ホルモン不応症のモデルマウスを用いた基礎研究なども進めています。

2) 副甲状腺ホルモン作用異常症

副甲状腺ホルモン受容体からの情報を細胞内に伝えるGs蛋白の変異に基づく偽性副甲状腺機能低下症は代表的なホルモン受容機構異常症として知られています。本症の診断基準および鑑別診断指針と治療指針は本研究班により1987年に策定されました。その関連疾患としての副甲状腺ホルモン分泌低下型の副甲状腺機能低下症を来す数多くの遺伝子異常に基づく疾患の鑑別指針に加え、これらを含む低カルシウム血症性疾患の鑑別診断指針を策定しました。一方、ビタミンD抵抗症の一つである低リン血症性くる病・骨軟化症の中に、血清リンと活性型ビタミンDの強力な低下作用を示す線維芽細胞成長因子(FGF)23作用の過剰により発症する疾患が多く存在することを班員の福本らが明らかにしました。そして血清FGF23測定値を用いたFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症の診断基準を策定し、現在全国疫学調査を実施しています。

3. 研究班としてトピックス的な話題など

FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症は、骨格系が変形を来し痛みも強いのに加え、今なお有効な治療法がありません。しかし、原因であるFGF23の作用を阻害する抗FGF23抗体が開発されれば画期的な治療法になると思われますので、その開発を積極的に推進したいと考えています。

甲状腺クリーゼも粘液水腫性昏睡も何れも発症すると重篤で死亡率が高いため、その早期診断の為の診療指針の策定に加えて、予防法や適切な治療法の確立に向けて班研究を進めています。