原発性側索硬化症(指定難病4)

げんぱつせいそくさくこうかしょう
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1.原発性側索硬化症とは

原発性 側索硬化症(primary lateral sclerosis: PLS)とは、大脳から脊髄にいたる 運動神経 が障害されるために、通常は45歳を過ぎた頃より下肢のツッパリ感、歩行障害を自覚症状として発病します。その後、徐々に上肢の症状、しゃべりにくい、飲み込みづらいという症状が加わってきます。
病気の進行は、筋萎縮性側索硬化症に較べて 緩徐 とされていますが、正確な診断が困難であるため、病状・経過については今後も検討する必要があります。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

2005年から2006年にかけて全国アンケート調査を実施したところ、日本での 有病率 は10万人当たり0.1人、筋萎縮性側索硬化症症例の2%という結果でありました。

3. この病気はどのような人に多いのですか

この病気にかかりやすくなるという体質や環境の要因の報告はありません。40歳以前の発症はまれであり、また男性の患者さんがやや多いという調査報告があります。

4. この病気の原因はわかっているのですか

いまのところ大人になって発病するPLSの原因については不明ですが、下記にありますように一部の若年型PLSで遺伝子変異が原因とされるものもあります。

5. この病気は遺伝するのですか

PLSと診断する基準では遺伝しないものと規定されていますが、小児期に発症するPLS(若年型PLS)では遺伝性を示し、原因となる遺伝子が明らかとなっているものがあります。ただし、このような遺伝性を示す疾患をPLSに含めるかどうかについては、今後さらに検討されるべき課題と思われます。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

通常は下肢がつっぱって歩きにくいという症状があらわれます。階段昇降の時には、昇るときよりも下る時により強く歩きにくさを自覚します。その後徐々に上肢の動かしづらさ、しゃべりにくいというように進行していきます。まれに、上肢の症状や構音障害・ 嚥下 のしづらさが最初の症状ということもあります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

残念ながら、病気の進行を止めたり、治癒させるような治療はみつかっていません。症状を和らげる治療として、四肢のツッパリを抑えて、動きを滑らかにするような薬剤を服用したり、リハビリテーションを行います。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

正確な病状については明らかではありませんが、筋萎縮性側索硬化症に較べて進行は緩徐といわれています。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

日常生活で、特に制限することはありません。通常の生活を送っていただいて構いませんが、過度の筋肉トレーニング(筋肉痛や疲労を残す)などは避けた方がいいと思われます。

10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。

筋萎縮性側索硬化症

 

情報提供者
研究班名 神経変性疾患領域における難病の医療水準の向上や患者のQOL向上に資する研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日 令和5年1月(名簿更新:令和5年6月)