クロウ・深瀬症候群(指定難病16)

くろう・ふかせしょうこうぐん
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. クロウ・深瀬症候群とは

クロウ・深瀬症候群とは 末梢神経障害、手足のむくみ、皮膚の変化(色素沈着、 剛毛 、血管腫)、胸水・腹水、など全身の様々な症状が出現する病気です。日本では報告者の名前をとってクロウ・深瀬症候群と呼ばれます。欧米では主な症状の頭文字をとってPOEMS症候群(P:polyneuropathy-多発神経炎、O:organomegaly-臓器腫大、E:endocrinopathy- 内分泌障害、M:M-protein-M蛋白、S:skin changes-皮膚症状)と呼ばれています。両者は同じ病気です。免疫グロブリンを産生する形質細胞の異常と、おそらくこの異常な形質細胞増殖に伴って産生される特殊なタンパク質(血管内皮増殖因子:VEGFと略されます)が、病気の発症に関わっていることが推測されています。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

このご病気の患者さんの数はそれほど多くありません。令和元年度の特定医療費(指定難病)受給者証の所持者数によると全国の患者数は187人です。2015年に行われた全国調査の結果も参考にすると、ご病気が落ち着いた方も含めると、400人ほどの患者さんがいらっしゃることが推測されています。

3. この病気はどのような人に多いのですか

このご病気にかかりやすくなるリスクは知られていません。女性より男性に多いご病気です。平均発症年齢は50歳代ですが、10代から80代まで幅広く発症します。

4. この病気の原因はわかっているのですか

この病気の原因はまだ十分にはわかっていません。骨の中(骨髄)や一部のリンパ節に、異常な形質細胞が増えること、恐らくそれに関連して血管内皮増殖因子(VEGF)というタンパク質が異常に増えることが、中心となるメカニズムであると考えられています。VEGFには血液の中の水分を血管の外へ漏れ出させる働きがあるため、浮腫みや胸・腹水を起こします。VEGFはこのご病気で特異的に上がるため、診断に役立つことがわかっています。また、治療効果の評価にも役立ちます。

5. この病気は遺伝するのですか

この病気は遺伝しません。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

多くの患者さんは末梢神経障害による手や足先のしびれ感や脱力で発症し、この症状が進行するにつれて、皮膚の色素沈着や手足の浮腫(むくみ)が出現してきます。患者さんによっては胸水や腹水の貯留が先に発見されたり、男性では女性化乳房から発症したりすることがあります。これらの症状は未治療では徐々に進行して行き、次第にほかの様々な症状が加わってきます。診断は末梢神経障害や骨病変の精査、血液検査によるM蛋白の検出や血管内皮増殖因子の高値などに基づいてなされます。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

患者数が少ないこともあり、この病気の標準的治療法は確立されていません。骨髄腫の治療を応用すると言う考え方で、以下のような治療が試みられています。しかし、このご病気に保険適用があるのは、現時点ではサリドマイドだけです。
異常形質細胞による骨病変が1箇所だけであれば、その切除や放射線照射が行われます。それ以外の場合には、薬物治療が行われます。自己末梢血幹細胞移植、サリドマイドやレナリドミドなどの免疫調整薬、ボルテゾミブなどのプロテアソーム阻害薬が用いられることがあります。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

それぞれの患者さんによって進行のスピードは異なります。未治療の場合には数年の間に末梢神経障害による手足の麻痺が進行すると共に、大量の胸水・腹水が溜まることにより心不全、腎不全に至って亡くなることの多い重篤な病気とされています。上術のような治療が行われるようになり、経過は良好になりつつあります。

9. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。

POEMS症候群、高月病、PEP症候群

10.この病気に関する資料・関連リンク

POEMS症候群サポートグループ(患者会)
https://poems.jp/  

 

情報提供者
研究班名 神経免疫疾患のエビデンスに基づく診断基準・重症度分類・ガイドラインの妥当性と患者QOLの検証研究班
研究班名簿 
情報更新日 令和4年3月(名簿更新:令和4年7月)