免疫系疾患分野|中條ー西村症候群(平成22年度)

なかじょうーにしむらしょうこうぐん
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1. 概要

幼少児期に凍瘡様皮疹にて発症し、結節性紅斑様皮疹や周期性発熱を繰り 返しながら、次第に長く節くれ立った指、顔面と上肢を主体とする部分的脂肪筋肉萎縮が進行する。血族婚や家族内発症の存在から劣性遺伝性と考えられる。ま た発症地域に偏りがあり、日本以外からの報告はない。慢性反復性の炎症と進行性のやせ・消耗を特徴とする、新たな自己炎症疾患と考えられる。

2. 疫学

20人程度。

3. 原因

「凍瘡ヲ合併セル続発性肥大性骨骨膜症」として、昭和14年に東北大学 皮膚科泌尿器科の中條により最初に、さらに昭和25年に和歌山県立医科大学皮膚科泌尿器科の西村らにより2番目に報告された疾患である。その後報告された 症例を集め、昭和60年に大阪大学皮膚科の喜多野らにより"A syndrome with nodular erythema, elongated and thickened fingers, and emaciation (結節性紅斑・長く太い指とやせを伴う症候群)"、平成5年に新潟大学神経内科の田中らにより"Hereditary lipo-muscular atrophy with joint contracture, skin eruptions and hyper-γ-globulinemia (関節拘縮・発疹と高ガンマグロブリン血症を伴う遺伝性脂肪筋肉萎縮症)"という新しい遺伝性疾患として英文誌に報告された。国際的なデータベースにも Nakajo syndrome (中條症候群)、Nakajo-Nishimura syndrome (中條—西村症候群)として登録されている。

平成18年より、本研究班員による共同研究によって疾患責任遺伝子の同定が進められ、昨年、遂に有力な候補遺伝子変異が同定された。現在、疾患発症メカニズムについてさらなる研究が進められている。

4. 症状

幼少児期に手足の凍瘡様皮疹にて発症する場合が多い。その後結節性紅斑 様皮疹が全身に出没したり、周期性発熱や筋炎症状を繰り返すようになる。早期より大脳基底核の石灰化を伴うが、成長発達障害ははっきりしない。次第に特徴 的な長く節くれ立った指と、顔面と上肢を主体とする部分的脂肪筋肉萎縮、やせが進行し、手指や肘関節の屈曲拘縮を来す場合がある。LDH、CPK、CRP やAアミロイドが陽性で抗核抗体も陽性になることがある。一方、ステロイド内服により、腹部や下半身の肥満を来す場合もある。呼吸障害や心機能低下のため に早世する場合がある。

5. 合併症

手指や肘関節の屈曲拘縮、やせ、呼吸障害、心機能低下など。

6. 治療法

標準的治療法はない。ステロイド内服が行われ、発熱、皮疹などの炎症の軽減には有効だが、萎縮ややせには無効である。むしろ長期内服による成長障害、緑内障、代償性肥満、骨粗鬆症など弊害も多い。

7. 研究班

中條—西村症候群の疾患概念の確立と病態解明に基づく特異的治療法の開発研究班