血液・凝固系疾患|家族性血小板異常症(平成22年度)

かぞくせいけっしょうばんいじょうしょう
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1. 概要

家族性血小板異常症 (familial platelet disorder, FPD) は常染色体優性遺伝形式をとる遺伝性の血小板異常症であり、高率に白血病や骨髄異形成症候群の発症を伴う。白血病に進行した場合治療に造血幹細胞移植が必 要となることも多い。白血病関連遺伝子RUNX1の変異が1999年に発見されその後散発的に罹患家系が報告されているが、診断基準や人口に対するその発 症頻度などの実態は明らかになっていない。

2. 疫学

不明 (日本を含めこれまでに約20家系の報告がある)。

3. 原因

家族性の血小板減少が見られる家系において21番染色体に連鎖して遺伝する ことが分かっており、このことからRUNX1(AML1)遺伝子の変異が関与していることが発見された。RUNX1変異はその複数の機能ドメインにわたっ て認められており、RUNX1が成体造血において巨核球の成熟に必須の遺伝子であることから、RUNX1機能の欠失が発症と関わると考えられているが、詳 細には不明な部分も多い。

4. 症状

持続的な血小板減少あるいは血小板機能異常に伴う出血傾向・紫斑・点状出 血・歯肉出血等を主な症状とするが、その程度はさまざまである。常染色体優性遺伝形式をとり、家系内に発症が集積する。高率に急性骨髄性白血病(AML) を始めとする骨髄性悪性腫瘍を合併するが、まれにリンパ球系腫瘍の合併も報告されている。血小板機能については正常とする報告、低下しているとする報告が 存在し、その実態は明らかになっていない。

5. 合併症

血小板減少に伴う出血を合併するほか、経過中高率に白血病や骨髄異形成症候群を発症する。

6. 治療法

必要に応じて血小板輸血などの対症療法が行われる。
白血病や骨髄異形成症候群を発症した場合、難治性であると考えられ造血幹細胞移植が適応となる場合が多いと予想されるが、実態は不明である。

7. 研究班

家族性血小板異常症に関する調査研究班