カナバン(Canavan)病(平成21年度)

かなばん(Canavan)びょう
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1. 概要

カナバン病はaspartoacylase(ASPA)の欠損によるN-acetyl-aspartate(NAA)の蓄積が、進 行性の中枢神経系障害を呈する白質変性症の1つである。多くは10年以内に死亡し、診断は尿中のNAAの著明な上昇(正常上限の20倍以上)、皮膚線維芽 細胞中のASPA活性の低下、特徴的な画像所見(頭部MRI上の白質病変)から行う。

2. 疫学

不明(まれ)

3. 原因

病因遺伝子は17番染色体短腕に存在し常染色体劣性遺伝形式をとり、近年、NAAの機能や遺伝子変異など本疾患に対する理解が深ま りつつある。Ashkenazi Jewsに多く発症するが、日本では非常に稀な疾患である。発生に人種差があり、日本人に極めて稀であることは推測されるが、これまで実態調査がなされた ことはなく原因不明のままフォローされている症例の存在があると考えられる。

4. 症状

多くは乳児早期に精神運動発達遅滞、大頭、筋緊張低下、痙性、運動失調が出現する。その後、けいれんや視神経萎縮など認め、退行し ていく疾患である。そのほか、新生児期に低緊張と経口摂取不良を認める先天型と4-5歳で発症し緩徐に構音障害やけいれんが進行する若年型の報告例も見ら れる。

5. 合併症

低緊張、痙性、睡眠障害、栄養障害の合併症がみられる。

6. 治療法

現時点では根治療法はなく、対症療法にとどまる。痙攣に対しては抗てんかん薬の投与が行われるが難治例が多い。また痙性麻痺に対しては抗痙縮薬が用いられる。

7. 研究班

カナバン病の実態把握とケア指針作成のための研究