脆弱X症候群(平成21年度)

ぜいじゃくえっくすしょうこうぐん
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1. 概要

葉酸欠乏培地での染色体分析でX染色体長腕末端部に脆弱部位が検出されることから本疾患の名前がつけられた。X連鎖性の遺伝性精神 遅滞の代表的な疾患であり、X染色体上脆弱部位から原因遺伝子が単離され、3塩基(CGG繰り返し配列など)が代を経て延長するために発症するトリプレッ トリピート病の一つであることが明らかにされている。

2. 疫学

約600人

3. 原因の解明

Xq27.3に存在するFMR1遺伝子内の(CGG)繰り返し配列が延長し、FMR1遺伝子の働きが悪くなり発症する。また、モデ ルマウスや患者の脳において、シナプスの形態異常が明らかになっている。しかし、FMR1遺伝子異常が、なぜ精神遅滞を引き起こすかの詳細なメカニズムは 未だ不明である。稀ではあるが、Xq28のFMR2遺伝子のGCC繰り返し配列の異常により発症する場合もある。

4. 主な症状

精神遅滞(一般的に重度)、細長い顔、大耳介、巨大睾丸(成人男性)、自閉的症状、その他(学習障害、多動、注意欠陥、関節の過伸 展、扁平足など)。女性の患者の場合は、比較的症状が経度である。精神遅滞や自閉的症状以外に特徴がない患者も多い。女性保因者の30%程度で精神遅滞な どの症状を呈するが、程度は男性患者よりも軽いことが多い。

5. 主な合併症

僧帽弁逸脱症を伴うことがある。女性の保因者は早発卵巣不全のリスクが高い。眼科的には斜視を伴うこともある。

6. 主な治療法

現在、本質的な治療法は研究段階であり、特別な治療法はまだない。行動異常には症状に応じた薬物療法を行う。僧帽弁逸脱症、斜視などの合併症には通常の治療を行う。

7. 研究班

日本人脆弱X症候群の実態調査研究班