若年性特発性関節炎(全身型)(平成21年度)

じゃくねんせいとくはつせいかんせつえん(ぜんしんがた)
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1. 概要

自己免疫現象を基盤とする全身の慢性炎症性疾患であり、標的臓器は関節のみならず、主として筋、骨・関節系、皮膚・粘膜、血管系(血管が密に分布する腎・肺・中枢神経を含む)の障害をきたす。

2. 疫学

有病率は小児人口10万人に4.56人程度である。

3. 原因の解明

不明の要因により、炎症性サイトカインとくにinterleukin(IL)-6の過剰産生が生じる。IL-6の過剰産生はIL- 6受容体(R)産生を促し、IL-6およびIL-6Rの複合体が形成され、この複合体が細胞表面受容体であるgp130に結合することにより、さまざまな 生物学的反応を惹起する。

4. 主な症状

発症時には強い全身症状(弛張熱、紅班、肝脾腫、リンパ節腫脹、漿膜炎など)を呈する。2週間以上にわたり弛張熱が持続し、発熱直前および発熱時にリウマトイド疹を認める。咽頭痛、リンパ節腫脹を認めることも多く、肝脾腫は約85%に認め、心膜炎も約35%に認める。

5. 主な合併症

約10%の症例で活動期にマクロファージ活性化症候群への移行例がみられる。弛張熱の調節が不能となり、血管内皮細胞障害、臓器細胞障害、播種性血管内凝固症候群が進行し多臓器不全に至る。

6. 主な治療法

ステロイド剤への依存性が極めて高く、寛解導入には経口ステロイド薬内服、メチルプレドニゾロン(mPSL)・パルス療法を導入 し、難治例には血漿交換療法+ステロイドパルス療法の併用が用いられる。近年、ヒト型抗IL-6R抗体の効果が報告されており、近い将来には標準的治療法 となると考えられている。

7. 研究班

若年性特発性関節炎の遺伝的要因の実態研究班