進行性白質脳症(指定難病308)

しんこうせいはくしつのうしょう
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 「進行性白質脳症」とはどのような病気ですか

出生後しばらくは正常に発達しますが、徐々に運動発達の遅れが目立ち始め、外傷や感染症などを契機に階段状に症状が進行する 大脳白質 障害です。頭部画像検査で特徴的な所見を示します。乳幼児期発症から成年期発症まで様々である上に、複数の異なる疾患が含まれます。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

海外では数万人に1人程度と報告されていますが、日本における調査結果はなく、複数の異なる疾患群を合わせると年間10~20人程度、新たに発症していると推測されます。

3. この病気はどのような人に多いのですか

人種差や生活習慣、性別とは無関係です。ただし、卵巣機能障害を伴う進行性白質脳症に関しては、女性の報告があるのみです。

4. この病気の原因はわかっているのですか

全て 常染色体潜性遺伝(劣性遺伝) 病であり、皮質下 嚢胞 をもつ大頭型白質脳症はMLC1遺伝子が、白質消失病はEIF2Bの1~5のサブユニット遺伝子が、卵巣機能障害を伴う進行性白質脳症はAARS2遺伝子が関連しています。

5. この病気は遺伝するのですか

全て常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)病であり、1対ある遺伝子の責任遺伝子に病的変異が2つ合わさった場合に発症します。両親が 保因者 の場合、25%の確率で発症します。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

皮質下嚢胞をもつ大頭型白質脳症では乳児期から大頭症を示し、乳児期以降に徐々に運動機能の遅れを生じてきます。徐々にふらつきや歩行の障害が生じ、 認知機能 が低下したり、てんかんを発症したりすることもあります。卵巣機能障害を伴う進行性白質脳症では女性において、月経機能障害を示すことがあります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

今のところ根本的な治療法はありませんので、各症状に対して一般的な対症療法を行います。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

乳児期以降に徐々に運動機能の障害から発症しますが、成年期まで無症状の場合もあります。全ての疾患で進行は 緩徐 な場合から、頭部外傷や感染症などを契機に階段状に進行する場合があります。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

頭部外傷や感染症によって階段状に進行することがあるので、頭部外傷や感染症をできるだけ避けることが望ましいです。症状がある場合、定期的な受診が必要です。

10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。

皮質下嚢胞をもつ大頭型白質脳症
白質消失病
卵巣機能障害を伴う進行性白質脳症

11. この病気に関する資料・関連リンク

『進行性大脳白質障害の疾患概念の確立と鑑別診断法の開発』研究班ホームページ
http://square.umin.ac.jp/myelin/

『MLCの患者の会』ホームページ
https://mlcjapan.com/

 

情報提供者
研究班名 遺伝性白質疾患・知的障害をきたす疾患の診断・治療・研究システム構築班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日 令和4年12月(名簿更新:令和5年6月)