遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん(指定難病148)

ゆうそうせいしょうてんほっさをともなうにゅうじてんかん
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

生まれて1ヵ月の赤ちゃんが元気なのですが、時々手や目、口をピクピクさせています。時々顔色も悪くなります。この病気なのでしょうか。

可能性はありますので、脳波検査、特に発作中の脳波が必要です。
新生児~1ヵ月の赤ちゃんがぴくぴくする場合、病的ではないものとしてジタリネス(手足の細かい震え)、入眠時(または睡眠時)ミオクローヌス、病的なものとしててんかん、非てんかん性のけいれんなどがあります。
非てんかん性のけいれんとしては低血糖、低カルシウム血症、低ナトリウム血症、中枢神経の感染症、頭蓋内出血などが考えられます。
 医師に相談していただき、てんかんや非てんかん性のけいれんが疑われる場合には、脳波検査を受ける必要があります。発作中の脳波で、脳波で発作波がある部位から起り、発作中に他の大脳半球や同じ側の離れた部位に移動する場合は、この病気が考えられます。

この病気の原因は何でしょうか?

遺伝子の変異が続々と見つかっています。
かつては原因不明とされ、それが診断基準の一つでしたが、最近、原因となる遺伝子変異が次々に発見されており、最も頻度が高いのはKCNT1遺伝子です。

遺伝するのでしょうか?

現在、この病気の原因としてわかっている遺伝子には、顕性遺伝(優性遺伝)するものと潜性遺伝(劣性遺伝)するものがあります。
潜性遺伝(劣性遺伝)の場合、兄弟姉妹に起る(同胞発症)ことがあります。病院によっては遺伝カウンセリング外来があるので、詳しく知りたい場合には相談するといいでしょう。

いろいろな治療を受けていますが、発作が止まりません。どうしたらよいでしょうか?

抗てんかん薬が効きづらいため、十分な量を使用しても発作がなかなか止まらないことも多いです。症状に合わせて、効果のあると考えられる抗てんかん薬をいろいろ試していく必要があります。臭化カリウムが有効な可能性がありますが、眠気が強いことに注意が必要です。一般的には、年齢とともに発作が減少することが多いといわれています。

臭化カリウムで治療していたら、発作は止まったのですが、顔や胸にとびひみたいな発疹が出てきました。どうしたらよいでしょうか。

臭素疹という副作用の可能性があり、軟膏で改善することもありますが、臭化カリウムを中止せざるを得ないことも多いです。
皮膚科で診ていただき、にきびや、皮膚の感染症が否定的な場合、臭素疹の可能性が考えられます。臭素診を改善させるには、臭化カリウムを中止せざるを得ません。臭素疹は稀な状態なので、皮膚科医でも知らない場合が少なくありませんので、臭化カリウムを内服していることを皮膚科医に伝えてください。

日常生活でどのような注意をしたらよろしいでしょうか?

基礎疾患、合併症への対応が重要です。
様々な程度の運動障害や知的障害が見られることが多いので、それらの症状に応じた治療や支援が必要になります。

 

情報提供者
研究班名 稀少てんかんの診療指針と包括医療の研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日 令和4年12月(名簿更新:令和5年6月)