完全大血管転位症(指定難病209)

かんぜんだいけっかんてんいしょう
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

夫は完全大血管転位で、生まれてすぐ手術をしています。生まれてくる子供には遺伝することがあるのでしょうか?

他の先天性心疾患と同様、多因子遺伝で、必ずしも遺伝するものではありません。
一般的には、お母さんが先天性心疾患を持つ場合、お子さんが先天性心疾患を発症する可能性は2-12%、お父さんの場合には、お子さんが先天性心疾患を発症する可能性は1-3%と言われています。一般的に生まれてくる赤ちゃんの1%は先天性心疾患を持って生まれますので、比較すると、それほど高いとは言えないと思います。

同じ大血管転位でも、治療法が違うと言われましたが、何故でしょうか?

外科治療法は、心室中隔欠損のないⅠ型、心室中隔欠損を合併するⅡ型、心室中隔欠損+肺動脈狭窄合併のⅢ型によって異なります。Ⅰ型、II型では、新生児期に大血管スイッチ術を実施します。Ⅲ型では幼児期にラステリ手術を行います。これらができない場合には、心房位転換術を施行します。

16歳の長女は大血管転位III型で、3歳の時にラステリ手術を受けています。将来、妊娠出産は無理でしょうか?

大血管転位の術後では、妊娠中や出産後に、右室機能不全、三尖弁逆流、心不全や不整脈の危険性があります。ラステリ術後の妊娠出産は、右室流出路及び弁付き導管の狭窄や閉鎖不全が高度でない限り、リスクは高くありません。高度の狭窄がある場合にはリスクは高く、妊娠前に再手術をしておくことが勧められます。また、細菌性心内膜炎のリスクは高く、抗生物質による予防が必要です。

この病気は、長生きできないのですか?

Ⅰ型、Ⅱ型で動脈スイッチ術の遠隔期の予後はかなり良好になってきています。問題となる続発症が見られない場合、健常人と変わらない生活が可能です。しかしながら、末梢性肺動脈狭窄、大動脈弁閉鎖不全などを伴う場合は、定期検査の結果次第では、カテーテル治療や再手術が必要となります。ラステリ手術後でも同様に、検査次第ではカテーテル治療や再手術が必要となります。一方、心房位転換術後の患者さんでは右室が体心室であるため、成人期になって右心機能が低下したり、難治性不整脈や三尖弁閉鎖不全による難治性心不全を来すことが多く、早期に適切な治療が必要になります。

本疾患の関連資料・リンク

① 小児慢性特定疾病情報センターホームページ
https://www.shouman.jp/disease/details/04_36_045/
② 日本成人先天性心疾患学会ホームページ総合・連携認定施設一覧
https://www.jsachd.org/specialist/list-facility/
③ 心疾患患者の妊娠・出産の適応、管理に関するガイドライン(2018年改訂版)
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2018_akagi_ikeda.pdf

 

情報提供者
研究班名 先天性心疾患を主体とする小児期発症の心血管難治性疾患の救命率の向上と生涯にわたるQOL改善のための総合的研究班
研究班名簿 
情報更新日 令和4年3月(名簿更新:令和4年7月)