左心低形成症候群(指定難病211)

さしんていけいせいしょうこうぐん
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

小児病院で長く診てもらっていますが、成人後もずっとそれでいいのでしょうか?

小児病院では成人になった患者さんをずっと診ていくことは困難です。それは成人期に特有な高血圧、動脈硬化、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病、成人がんなどへの対応ができないからです。そこで、成人先天性心疾患の専門医療ができる病院へ移る、もしくはそれらの施設と併診することになります。成人先天性心疾患学会では全国に80カ所以上の専門施設を認定し、成人先天性心疾患専門医を配置しています。先ずは主治医とよく相談してください。(https://www.jsachd.org/specialist/list-facility/)

フォンタン型手術後はどのような薬を飲むのですか?

フォンタン型手術では上下大静脈からの直接肺動脈に血液が流れ込みます。肺動脈内の血流はゆっくり流れることになり、血栓を生じやすいとされています。通常、アスピリンなどの抗血小板薬は動脈側の血栓、抗凝固薬ワルファリンは静脈側の血栓を抑制する目的で使用されます。術後はワルファリンを服薬することになるのですが、納豆が食べられない、コントロールのために採血が必要、妊娠には禁忌など種々の制限があるため、抗血小板薬で代用せざるを得ないこともあります。どちらの薬を服用すべきかの服薬方針は、患者さんの病状によるのが現状です。ただし、薬を全く飲んでいない患者さんの中には、青年期以降に肺血栓症、脳血栓症を発症する方がいるのは事実です。主治医の先生とよく相談して下さい。

妊娠、出産は大丈夫でしょうか?

フォンタン型手術後で心機能が良好な方の中には、厳重な管理下のもとに無事に出産された方がおられますが、一般にフォンタン手術後の妊娠出産は母体にも胎児にも大きな危険を伴います。特に心低形成症候群では成人に到達された患者さんが極めて少ないために、主治医の先生と妊娠・出産の可能性については十分な話し合いをして下さい。特に術後の心機能が良好でない場合や動脈血酸素飽和度が90%未満の低酸素血症がある場合は妊娠・出産の危険がかなり高まりますので、主治医の先生にきちんと相談して下さい。

飛行機に乗ってもいいですか?

水平で安定飛行している多くの旅客機の機内圧は富士山5合目(海抜2400m:約0 .76気圧)と同等とされています。ただ、ボーイング787、エアバスA350は富士山3合目(海抜1800m:約0.81気圧)まで機内圧を上昇させています。気圧が1.0気圧より低いということは、各々の機種の酸素濃度は海抜0mでの酸素濃度の76%、81%まで下がるということです。慢性低酸素血症の方は、主治医に相談していただくのが良いと思われます。最近の研究から運動負荷試験中の経皮的酸素飽和度の低下の程度から飛行中の低酸素血症の程度が予測できることがわかっています。それによると運動中に経皮的酸素飽和度が10%以上低下するフォンタン術後の方は頭痛や倦怠感などの症状が出現する可能性が高いとされています。従って、経皮酸素飽和度が90%以上でも安心とは言えませんので、低下が予測される方はあらかじめ酸素を用意していただくのが良いと思います。酸素を用意してくれる会社も多くなってきました。また、脱水や長期間の固定した姿勢は血栓ができやすいとされますので、こまめな水分補給や機内での簡単な手足の運動も心がけることも大切です。利尿剤、強心剤など服薬している方は、必ず、主治医に相談して下さい。

水中ダイビングをしたいのですが?

低酸素血症のある方、またフォンタン手術後で酸素飽和度が正常な方でもお勧めできません。それは、フォンタン手術後は、肺への血流を維持するために呼吸運動を正常に行うことが非常に重要です。息を吸う時に胸が上がって、胸腔という肺の周りのスペースが陰圧になることが、肺に血液が流れ込むことに大きな影響を与えていると考えられています。フォンタン手術後の方にとって、息こらえはよくありません。水中でのダイビングや息こらえによって、酸素濃度の低下、心臓からの血液の拍出量の低下がおこり、失神する可能性も否定できません。水中での失神は溺水となります。また、水中では水圧がかかり、胸の上がり具合が地上よりは制限される可能性があります。以上から、水中ダイビングはお勧めできません。

本疾患の関連資料・リンク

① 小児慢性特定疾病情報センターホームページ
https://www.shouman.jp/disease/details/04_29_036/
② 日本成人先天性心疾患学会ホームページ総合・連携認定施設一覧
https://www.jsachd.org/specialist/list-facility/
③ 心疾患患者の妊娠・出産の適応、管理に関するガイドライン(2018年改訂版)
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2018_akagi_ikeda.pdf

 

情報提供者
研究班名 先天性心疾患を主体とする小児期発症の心血管難治性疾患の救命率の向上と生涯にわたるQOL改善のための総合的研究班
研究班名簿 
情報更新日 令和4年3月