ベスレムミオパチー(指定難病31)

べすれむみおぱちー
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

○ 概要
 
1.概要
乳幼児期に発症し、緩徐に進行する近位筋優位の筋力低下と筋萎縮に加え、比較的早期より手指・肘関節・足関節などの屈曲拘縮を伴うミオパチーである。通常、常染色体優性であるが、最近劣性遺伝形式をとる例も報告された。ウルリッヒ病と同様にCollagen VI遺伝子変異を原因とする。
英国の疫学調査では、ベスレムミオパチーの有病率0.77(10万対)である。Collagen VI関連ミオパチーの中ではベスレムミオパチーが高頻度である。平成22年度厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「ベスレムミオパチーとその類縁疾患の実態調査(西野班)」で疫学調査が行われたが、ベスレムミオパチーの患者数はウルリッヒ病の患者数の1/10程度であり、本邦では、大部分の例が未診断のままであると考えられる。実際、本邦からは、1989年と1992年に症例報告があるのみである。両例ともに遺伝学的に診断が確定していない。
 
2.原因
Collagen VIをコードするCOL6A1、COL6A2、COL6A3のいずれかの遺伝子の変異により発症する。
3.症状
乳幼児期に発症し、近位筋優位の筋力低下と筋萎縮が緩徐に進行する。比較的早期より手指・肘関節の屈曲拘縮、足関節の伸展拘縮を伴う。
4.治療法
根本的治療法はなく、リハビリテーションなど保存的治療のみ。尖足にはアキレス腱延長術が有効な場合がある。
5.予後
歩行障害など。
○ 要件の判定に必要な事項
1.患者数
100人未満(研究班による)
2.発病の機構
不明(遺伝子の変異が示唆されている。)
3.効果的な治療方法
未確立(根本的治療法なし。)
4.長期の療養
必要(乳幼児に発症し、進行性である。)
5.診断基準
あり(研究班の診断基準等あり。)
6.重症度分類
Barthel Indexを用いて、85点以下を対象とする。
 
○ 情報提供元
「希少難治性筋疾患に関する調査研究」
研究代表者 東北大学大学院医学系研究科神経内科学 教授 青木正志
 
 
 
<診断基準>
ベスレムミオパチー(MIM# 158810, Bethlem myopathy)診断基準
Definite、Probableを対象とする。
●診断に有用な特徴
A.臨床的特徴(a~cは必須)
a.常染色体優性遺伝又は孤発性(まれに常染色体劣性遺伝の例がある。)
b.主に小児期発症(通常2歳から5歳)(まれに成人発症例がある。)
c.早期からの関節屈曲拘縮(第II~V指指節間関節、肘関節、足関節)
d.緩徐進行性の体幹・四肢近位筋優位の筋力低下及び筋萎縮(以下は参考所見)
(以下は参考所見)
・50歳以降に歩行不能となる例が多い。
・斜頸をしばしば合併する。
・血清CK値は正常から軽度高値(1,500 IU/L以下)
・針筋電図で筋原性変化
・心筋症や不整脈などの心合併症を欠く。
 
B.筋生検所見(参考所見)
a.筋内鞘間質増生を伴う慢性筋原性変化
b.免疫染色でCollagen VI異常(筋鞘膜特異的欠損や部分欠損など)を認めることがある。
 
C.遺伝学的検査
COL6A1、COL6A2、COL6A3遺伝子のヘテロ接合型変異(まれにホモ接合型又は複合へテロ接合型変異のことがある。)
 
●除外すべき疾患
・早期より関節拘縮を来す筋疾患(エメリー・ドレイフス(Emery-Dreifuss)型筋ジストロフィーなど)
 
●診断のカテゴリー
Definite:A+Cを満たし、除外すべき疾患を除外したもの。
Probable:A+Bを満たし、除外すべき疾患を除外したもの。
 
 
<重症度分類>
機能的評価:Barthel Index
85点以下を対象とする。

 

質問内容

点数

1

食事

自立、自助具などの装着可、標準的時間内に食べ終える

10

部分介助(例えば、おかずを切って細かくしてもらう)

5

全介助

0

2

車椅子からベッドへの移動

自立、ブレーキ、フットレストの操作も含む(歩行自立も含む)

15

軽度の部分介助又は監視を要する

10

座ることは可能であるがほぼ全介助

5

全介助又は不可能

0

3

整容

自立(洗面、整髪、歯磨き、ひげ剃り)

5

部分介助又は不可能

0

4

トイレ動作

自立(衣服の操作、後始末を含む、ポータブル便器などを使用している場合はその洗浄も含む)

10

部分介助、体を支える、衣服、後始末に介助を要する

5

全介助又は不可能

0

5

入浴

自立

5

部分介助又は不可能

0

6

歩行

45m以上の歩行、補装具(車椅子、歩行器は除く)の使用の有無は問わず

15

45m以上の介助歩行、歩行器の使用を含む

10

歩行不能の場合、車椅子にて45m以上の操作可能

5

上記以外

0

7

階段昇降

自立、手すりなどの使用の有無は問わない

10

介助又は監視を要する

5

不能

0

8

着替え

自立、靴、ファスナー、装具の着脱を含む

10

部分介助、標準的な時間内、半分以上は自分で行える

5

上記以外

0

9

排便コントロール

失禁なし、浣腸、坐薬の取扱いも可能

10

ときに失禁あり、浣腸、坐薬の取扱いに介助を要する者も含む

5

上記以外

0

10

排尿コントロール

失禁なし、収尿器の取扱いも可能

10

ときに失禁あり、収尿器の取扱いに介助を要する者も含む

5

上記以外

0

 
 
 
※診断基準及び重症度分類の適応における留意事項
1.病名診断に用いる臨床症状、検査所見等に関して、診断基準上に特段の規定がない場合には、いずれの時期のものを用いても差し支えない(ただし、当該疾病の経過を示す臨床症状等であって、確認可能なものに限る。)。
2.治療開始後における重症度分類については、適切な医学的管理の下で治療が行われている状態であって、直近6か月間で最も悪い状態を医師が判断することとする。
3.なお、症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該当しない者であるが、高額な医療を継続することが必要なものについては、医療費助成の対象とする。
 

平成27年1月1日

 

情報提供者
研究班名 希少難治性筋疾患に関する調査研究班
研究班名簿 
情報更新日 令和3年9月(名簿更新:令和8年6月)

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