奇形症候群分野|多発奇形・発達遅滞(平成24年度)

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1. 概要

先天異常は一般集団の3-5%に認められ、その原因解明・治療法の開発は医療における重要な課題の一つである。我が国における乳児死亡原因の第1位は先天異常・変形・染色体異常である。希少難病が集中する小児病院では遺伝的要因・先天異常例が54%を占める。診断技術の向上や医療の発展によってもこの先天異常の比率は変わらない。特に診断未定の多発奇形・発達遅滞症例は、研究と医療施策の対象とされることがほとんどなかった。しかし、総体としての頻度は極めて高く、医療負担は勿論、家族の負担も極めて大きい。

2. 疫学

出生500例に1例と推定される。

3. 原因

診断の難しさの理由は、個々の症例が複数の症状の組み合わせからなり、1例1例がみな異なるために、診断基準というものがないためである。さらに、所見を正確に把握し、その組み合わせから診断を下すためには、Dysmorphologyの知識と経験が必要であるからである。一般に、多発奇形・発達遅滞の半数以上で遺伝的要因が関与していると考えられている。原因の解明方法としては網羅的にゲノムを解析する方法としてマイクロアレイCGHが有用である。将来的には、次世代シーケンサーなどを用いた新たな解析技術の導入が必要である。

4. 症状

多臓器にわたる先天奇形、成長障害(過成長も含む)。精神運動発達遅滞、てんかんなどの神経症状、行動異常など。

5. 合併症

心奇形などの内臓奇形、甲状腺などの内分泌異常など、症例ごとに大きな幅がある。

6. 治療法

対象療法が中心。包括的な医療管理、療育が必要。次子での再発可能性の評価については遺伝カウンセリングが重要である。

7. 研究班

診断未定多発奇形・発達遅滞の実態把握と病因・病態の解明に関する研究班