耳鼻科疾患分野|両側小耳症・外耳道閉鎖(両側伝音難聴)(平成22年度)

りょうそくしょうじしょう・がいじどうへいさ(りょうそくでんおんなんちょう)
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1. 概要

原因不明であるが、健康な両親よりsporadicに両側に耳介が欠損 し、両側の外耳道も欠損したまま生まれる。伝音難聴を呈する。トレッチャー・コリンズ症候群のみが原因がわかっている。放置すると言語発達の遅れ、コミュ ニケーション障害を伴う。両側小耳症による劣等感を抱き、精神的に内向する。

2. 疫学

わが国では片側小耳症・外耳道閉鎖症は1万人に1人、両側小耳症・外耳道閉鎖症は10万人に1人程度と考えられる。欧米ではもっと少なくアジアではわが国と同様と推測されている。

3. 原因

両側小耳症を呈する疾患の中で、遺伝子の異常が見出されているのはトレッチャー・コリンズ症候群のみである。

4. 症状


(1)両側小耳症(重症度はMarxによるⅠ~Ⅲに分類される)。
(2)両側外耳道閉鎖症(大多数が骨部外耳道閉鎖。一部に軟部外耳道閉鎖がある)。
(3)伝音難聴を呈する。

5. 合併症


(1)顔面神経麻痺
(2)小顎症
(3)口蓋裂
(4)頬骨低形成
(5)咀嚼・嚥下障害

6. 治療法


(1)手術年齢までに難聴に対して片側、あるいは両側骨導補聴器を装用させて聴覚補償を行う。
(2)両側耳介・外耳道形成術を実施する。
(3)術後、気導式あるいは新たに骨導耳穴型補聴器を装用させて聴覚補償を行う。

7. 研究班

先天性両側小耳症・外耳道閉鎖疾患に対する、良い耳介形成・鼓膜・鼓室形成術の開発と両耳聴実現のためのチーム医療班