皮膚疾患分野|難治性慢性痒疹・皮膚そう痒症(平成22年度)

なんちせいまんせいようしん・ひふそうようしょう
研究班名簿 一覧へ戻る

1. 概要


痒疹の概念
痒疹とは痒疹丘疹を主徴とする反応性皮膚疾患である。
痒疹丘疹とは強い痒みを伴う孤立性の丘疹をいう。掻破により頂部にびらんを生じることがあるが、湿疹丘疹とは異なる。原則として集簇しても融合しない。急 性痒疹、亜急性痒疹、慢性痒疹に分けられる。急性期では滲出傾向が目立ち、慢性期では表皮の肥厚を伴う。

皮膚そう痒症の概念
皮膚病変が認められないにもかかわらずそう痒を生じる疾患。
(但し掻破により二次的に掻破痕や色素沈着を生じることがある。)

2. 疫学


入院が必要な重症難治性慢性痒疹:平均9.5人/年(年間760人/全国大学病院)
入院が必要な重症難治性皮膚そう痒症:平均1.2人/年(年間96人/全国大学病院)
重症慢性痒疹は0.017%(1.5万人)、重症皮膚そう痒症は0.455 %(39万人)

3. 原因

両疾患ともに、原因や機序は明らかとなっていない。しかしこれまでに、腎・肝・胆道・血液・内分泌・代謝・精神疾患や薬剤、金属アレルギー、病巣感染などの基礎疾患に起因する症例のあることが知られている。

4. 症状

慢性痒疹:四肢・体幹に激痒をともなう丘疹が多発する。掻破を繰り返し徐々に角化、色素沈着を伴いながら慢性に経過する。

皮膚そう痒症:痒みを生じうるような明らかな皮膚病変がないにもかかわらず、全身のいたるところ、もしくは一部に限局して痒みを訴える。難治で治療に抵抗する例が多くみられる。

5. 合併症

本疾患は種々の基礎疾患にともなって発症しうるが、本疾患が誘因となって発症する合併症はない。

6. 治療法

ステロイド外用薬および抗ヒスタミン薬の内服、ナローバンドUVB療法など。

7. 研究班

難治性慢性痒疹・皮膚そう痒症の病態解析及び診断基準・治療指針の確立班