免疫系疾患分野|難治性(特発性)慢性好酸球性肺炎(平成22年度)

なんちせい(とくはつせい)まんせいこうさんきゅうせいはいえん
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1. 概要

20歳代から60歳代の健常者、特に30歳から50歳の女性に発症しや すい。細菌性肺炎様の症状と画像所見を呈するため誤診されやすく、重症化してから専門医へ紹介されることが多い。末梢気道から肺胞領域の強い好酸球と活性 化リンパ球浸潤を特徴とし、呼吸不全化しやすく、治療が適切でないと線維化影を残すだけでなく、致死的な経過となりうる。早期の的確な診断治療が重要であ るが、再燃しやすい。エビデンスに基づいた治療方法はなく、通常ステロイド治療を一生必要とする。

2. 疫学

国内で1万人。

3. 原因

発症原因はまったく不明である。国際的にも研究報告はほとんどない。何 らかの外的因子に対する過敏反応(アレルギー反応)も推定されるが、根拠となる成績はない。寄生虫や薬剤、真菌抗原などの原因が特定できるケースはある が、今回はそれらを対象とせず、原因不明例を対象とする。本症の約1/3に喘息を合併することから、病因的に共通の機序がある可能性がある。

4. 症状

細菌性肺炎に類似の症状で発症する。すなわち発熱と咳嗽、呼吸困難を主 訴とし、次第に呼吸不全化する。そのため、特に非専門医では誤診されるケースが多い。末梢血と肺胞レベルの好酸球増多を証明し、確定診断にいたる。大量の ステロイド治療で改善するが、減量する際に、同様の症状で再燃しやすい。悪化時には、末梢血好酸球増多が最も鋭敏に出現しやすく、次に肺炎様の多発する肺 浸潤影も伴う。したがって、長期管理の際には、定期的な好酸球数と胸部レントゲン所見のチェックが必須となる。

5. 合併症

喘息の合併を約1/3に認める。重症遷延化すると、肺線維化を残し準呼吸不全の状態にもなりうる。

6. 治療法

急性期は、パルス療法も含めたステロイド大量投与が基本である。安定化し長期管理期に入ると、経口ステロイド経口で維持することが多いが、減量や中止で再悪化しやすい。免疫抑制薬や他の抗喘息薬なども試みられることがあるが、エビデンスに乏しい。

7. 研究班

原因不明の慢性好酸球性肺炎研究班