ロイス・ディーツ症候群(平成21年度)

ろいす・でぃーつしょうこうぐん
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1. 概要

ロイス・ディーツ症候群は、大動脈病変、骨格病変など主所見とし、口蓋裂・二分口蓋垂・眼間解離などの特徴的な顔貌、全身血管の蛇 行、頭蓋骨早期癒合、先天性心疾患、精神発達遅滞などの合併がしばしば認められる疾患で、TGFβ受容体(1型あるいは2型)遺伝子(TGFBR1、 TGFBR2)の変異(機能障害)を認める。しかし、TGFBR1、TGFBR2の遺伝子変異を有しても、これらの特徴的所見を必ずしも認めない症例もあ り、マルファン症候群などとの鑑別がしばしば必要な疾患である。

2. 疫学

1,000人~数千人(類縁のマルファン症候群との比較より推計)

3. 原因の解明

TGFβ受容体(1型あるいは2型)遺伝子の変異(機能障害)が病因である疾患。機序は不明。

4. 主な症状

大動脈病変、骨格病変が特徴的にみられる。マルファン症候群との鑑別が問題になる症例も少なくないが、水晶体亜脱臼は通常みられ ず、長身長を認めない例も少なくない。一方、全例ではないが、口蓋裂・二分口蓋垂・眼間解離などの特徴的な顔貌、全身血管の蛇行、頭蓋骨早期癒合、先天性 心疾患、精神発達遅滞などの合併を認める症例がある。血管病変は大動脈のみならず、全身の血管蛇行や脳動脈を含む中小動脈瘤の合併が多いとされている。

5. 主な合併症

大動脈瘤解離による急性循環不全、大動脈弁閉鎖不全等による心不全。他の大動脈疾患に比べ、より若年で、かつ大動脈拡張が軽度であっても解離にいたる傾向が指摘されている。その他、脳動脈瘤、口蓋裂、斜視、頸椎不安定症、側彎症、内反足。

6. 主な治療法

大動脈瘤、大動脈解離に関しては内科的に降圧剤による血圧コントロールが行われるが、大動脈弁閉鎖不全(逆流)、解離の予防、急性 解離に対しては弁置換術、大動脈置換術などの外科的治療が選択される。口蓋裂、斜視に対しては、外科的修復。頸椎不安定症、側彎症、内反足に対しては固定 術あるいは整形外科的修復。

7. 研究班

ロイス・ディーツ症候群の診断基準作成に向けた臨床所見の収集と治療成績の検討班