難治性血管腫・血管奇形(混合血管奇形など)(平成21年度)

なんちせいけっかんしゅ・けっかんきけい
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1. 概要

従来血管奇形という概念は存在せず、血管腫と総称されてきた。真の血管腫の多くは自然退縮するが、巨大病変などでは早急な治療が必 要となり、退縮後に著明な変形障害を来たす。血管奇形には静脈奇形、毛細血奇形、リンパ管奇形、動静脈奇形、それらの混合型が存在する。浸潤型病変がしば しば認められ、四肢全体や全身に病変が多発することもある。これら難治性血管奇形においては完治させることが難しく、生涯にわたる疾患治療・管理が必要で ある。

2. 疫学

推定10,000人

3. 原因の解明

多くは先天性で、血管の発生異常(奇形)により生じた病変と考えられているが、証明されていない。原因は不明であるが、遺伝学的、 分子生物学的解析からは、静脈奇形におけるTie2変異、毛細血管奇形に患肢肥大と微細動静脈瘻合併を特徴とするParks-Weber症候群の RASA1変異などが発見され、遺伝子治療や分子標的創薬の可能性が見出されつつある。

4. 主な症状

血管腫、血管奇形ともに全身のどの部位にも発症し、巨大病変や浸潤性病変、多発病変では症状が多岐にわたり、治療も難渋する。血管 奇形では、多くの場合、疼痛、発熱、感染、出血、醜状変形などが主訴となる。患肢の肥大や変形、萎縮などによる運動機能障害も稀ではない。巨大なもので は、病変での凝固因子が多量に使われて、消費性凝固障害からDIC症状をしばしば認める。

5. 主な合併症

局所の急性感染、発熱、病変内出血、気道閉塞、嚥下障害、発声障害、歩行障害、脊柱側弯症、骨折など

6. 主な治療法

外科的切除、硬化療法(アルコール、ポリドカノール、オルダミン等)、レーザー照射など。

7. 研究班

難治性血管腫・血管奇形についての調査研究班