奇形症候群分野|ルビンシュタインテイビ症候群(平成24年度)

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1. 概要

ルビンシュタインとテイビ(1963年)が“Broad thumbs and toes and facial abnormalities“と題して、精神運動発達遅滞,特異顔貌、幅広い拇指趾をもつ7症例を報告したのが最初で、以後、同様の症例が報告され, ルビンシュタインテイビ症候群と呼称される多発奇形症候群。

2. 疫学

100-200名

3. 原因

ほとんどが散発例。
16p13.3に座位するCREB -binding protein遺伝子(CREBBP or CBP)が責任遺伝子と判明した。原因遺伝子のCREBBPはヒストンアセチルトランスフェラーゼであり、ルビンシュタインテイビ症候群はヒストンアセチル化異常症と考えられる。

4. 症状

精神運動発達遅滞,特異顔貌、幅広い拇指趾

5. 合併症

a.周産期
ときに羊水過多を認める.ほとんどが満期産で,出生時体格も標準のことが多い。
b.成長・発達
低身長を示す。平均最終身長は男性で約152cm,女性で約143cm。精神遅滞は必発である.通常IQは40-50台。
c.頭部・顔面
特異顔貌:小頭,大泉門開大,前頭部突出,太い眉毛,長い睫毛,眼険裂斜下,内眼角贅皮,両眼開離,上顎低形成,幅広い鼻稜,鼻翼より下方に伸びた鼻中隔,小さい口,小顎,耳介変形,後頭部毛髪線低位
d.眼科
斜視,屈折異常,鼻涙管閉塞,白内障,緑内障
e.四肢・体幹
幅広い母指・母趾(ときに横側に偏位),幅広い末節骨,第5指内彎,指尖の皮膚隆起,手掌単一屈曲線,扁平足,関節過伸展,頚椎後弯,脊椎側弯,停留睾丸,小陰茎,尿道下裂、膀胱尿管逆流症
f 皮  膚
多毛,前頭部の火焔状母斑,ケロイド形成,ときに石灰化上皮腫。
g.神経学的所見
筋緊張低下,てんかん,脳波異常 
h.ときにみられる症状
5-10%に良性・悪性腫瘍(特に脳,神経堤由来組織)、思春期早発、脳梁欠損,先天性心奇形,膝蓋骨(亜)脱臼
自然歴と予後
新生児・乳児期には反復性呼吸器感染,哺乳障害,嘔吐,誤嚥,便秘が問題となる。
学童期になると精神運動発達遅滞や肥満傾向がみられる。悪性腫瘍の合併以外は,一般に,生命予後は良好である。先天性であり、多臓器の障害は慢性かつ持続的であり、生活面での長期にわたる支障を来す。合併症の治療を積極的に行い、QOLの向上に努める。てんかんのコントロールも重要である。

6. 治療法

現在のところ根本的治療法はない。早期の合併症に対応することで長期的予後の改善をはかる。

7. 研究班

先天性異常の疾患群の診療指針と治療法開発をめざした情報・検体共有のフレームワークの確立