神経系疾患分野|Galloway-Mowat 症候群(ギャロウェイモワト症候群)(平成24年度)

Galloway-Mowatしょうこうぐん
研究班名簿 一覧へ戻る

1. 概要

ギャロウェイモワト症候群(Galloway-Mowat syndrome、OMIM 251300)は、難治性ネフローゼ(腎糸球体硬化)とてんかん・精神運動発達遅滞(小頭症)の2大徴候に、顔面・四肢小奇形を合併する症候群である。一般に散発性であるが、家族内発症や血縁家系での発症があり、劣性遺伝子の関与が疑われる。

2. 疫学

重症例で10-20人、軽症例はもっと多い(~50例)と推測される。

3. 原因

腎糸球体上皮細胞と中枢神経ニューロンに共通する細胞機能障害(細胞分裂、接着、遊走等)があり、腎糸球体と脳の器官形成プロセスに異常を来すと推測される。
原因となる染色体異常や遺伝子変異は、見つかっていない。当研究班や欧州のグループは、まれな家族例を用いた連鎖解析により、疾患遺伝子座位を確認しているが、原因変異の同定には至っていない。

4. 症状

腎障害(蛋白尿)と中枢神経障害(てんかん・精神運動発達遅滞)の二つが診断に必須である。典型的な重症例では、出生早期から大量の蛋白尿(ネフローゼ症候群)を来たし、腎不全に進展する。また典型例では大脳皮質形成異常や小脳低形成を伴う小頭症があり、難治性てんかんを呈する。一方、腎障害(蛋白尿)、小頭症(てんかん・発達遅滞)の程度が軽く、比較的良好な経過で成人に達する軽症例も見られる。

5. 合併症

外表奇形を伴うが、障害部位や程度は症例により様々で、疾患特異的と言える所見はない。顔面形成異常(前額狭小化、大きく柔らかい後方回転の耳、耳介低位、小下顎、高口蓋、両眼隔離)や四肢奇形(くも状指、屈指、母指偏位)を伴うことが多い。一般に筋緊張は低下しており、斜視、食道裂孔ヘルニアの合併が見られる。

6. 治療法

対症療法を主体とする。ネフローゼ症候群に対しては免疫抑制療法を試みるが、治療に抵抗性で腎不全に進展することも多い。腎不全に対しては、腹膜透析や腎移植が行われる。てんかんについては、長期の薬物療法が必要となる。

7. 研究班

腎・泌尿器系の希少難治性疾患群に関する調査研究班