奇形症候群分野|鰓弓耳腎(BOR)症候群(平成24年度)

さいきゅうじじんしょうこうぐん
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1. 概要

鰓弓耳腎(Branchio-oto-renal (BOR))症候群は、頸瘻・耳瘻孔・外耳奇形などの鰓原性奇形、難聴、腎尿路奇形を3主徴とする症候群である。

2. 疫学

わが国の推定患者数(医療受療者数)は約250人である。

3. 原因

常染色体優性遺伝形式をとり、EYA1遺伝子変異が約40%の頻度で認められる。SIX1、SALL1、SIX5遺伝子変異も原因であるが、極めて頻度は低い。原因遺伝子が不明の例も多い。

4. 症状

頸瘻・耳瘻孔・外耳奇形などの鰓原性奇形、難聴、腎尿路奇形を3主徴とする。本症候群は先天性の高度難聴や小児期腎不全の重要な原因であり、小児高度難聴の約2%を占めるとされている。鰓原性奇形、難聴のみを呈することもあり、同一家系内で同じ遺伝子変異を持つ場合でも、その表現型はさまざまであることが多い。

5. 合併症

まれに先天性白内障を合併することがある。また、頸瘻・耳瘻孔などに感染を繰り返す場合がある。

6. 治療法

先天性難聴に対しては、補聴器装着や人工内耳造設を行うことで聴力が改善することがある。腎不全に進行した場合には、透析や腎移植が必要である。頸瘻・耳瘻孔などに感染を繰り返す場合には瘻孔切除術を行う。

7. 研究班

腎・泌尿器系の希少難治性疾患群に関する調査研究班