血管奇形分野|難治性血管腫・血管奇形(平成23年度)
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1. 概要 | |
従来血管奇形という概念は存在せず、血管腫と総称されてきた。真の血管腫の多くは自然退縮するが、巨大病変などでは早急な治療が必要となり、退縮後に著明な変形障害を来たす。血管奇形には静脈奇形、毛細血管奇形、リンパ管奇形、動静脈奇形、それらの混合型が存在する。血管奇形の中には巨大病変や浸潤型病変がしばしば認められ、四肢全体や全身に病変が多発することもある。これら難治性血管奇形においては完治させることが難しく、生涯にわたる疾患治療・管理が必要である。 | |
2. 疫学 | |
欧米の文献では血管奇形はごく小さな治療容易なものまで含めると人口の1%程度にあると推定されているが、本邦においての発生率は不明である。本研究班の予備調査からは、血管奇形全体の中で難治性血管奇形に該当する患者数は約10,000人以下であると推測される。 | |
3. 原因 | |
多くは先天性で、血管の発生異常(奇形)により生じた病変と考えられているが、証明されていない。原因は不明であるが、遺伝学的、分子生物学的解析からは、静脈奇形におけるTie2変異、毛細血管奇形に患肢肥大と微細動静脈瘻合併を特徴とするParkes Weber症候群(パークス ウェーバー症候群)のRASA1変異などが発見され、遺伝子治療や分子標的創薬の可能性が見出されつつある。 | |
4. 症状 | |
血管腫、血管奇形ともに全身のどの部位にも発症し、巨大病変や浸潤性病変、多発病変では症状が多岐にわたり、治療も難渋する。血管奇形では、多くの場合、疼痛、発熱、感染、出血、醜状変形などが主訴となる。患肢の肥大や変形、萎縮などによる運動機能障害も稀ではない。巨大なものでは、病変での凝固因子が多量に使われて、消費性凝固障害からDIC症状をしばしば認める。 | |
5. 合併症 | |
局所の急性感染、発熱、病変内出血、気道閉塞、嚥下障害、発声障害、歩行障害、脊柱側弯症、骨折など。 | |
6. 治療法 | |
外科的切除、硬化療法(アルコール、ポリドカノール、オルダミン等)、レーザー照射など。 | |
7. 研究班 | |
難治性血管腫・血管奇形についての調査研究班 | |