その他|胎児仙尾部奇形腫(平成23年度)

たいじせんびぶいけいしゅ
研究班名簿 一覧へ戻る

1. 概要

仙尾部奇形腫は新生児でもっとも頻度の高い腫瘍で、Hensen’s node(胎児の尾骨先端に位置する原始線状の遺残組織)の多分化能を有する細胞から生じると考えられている。年長児では悪性化していることも稀ではないが、新生児の仙尾部奇形腫は基本的に良性腫瘍であり、染色体異常や重篤な合併奇形を伴うことも稀である。従って、新生児の仙尾部奇形腫では、時に認める再発や直腸膀胱障害を除けば、尾骨を含めた腫瘍全摘で良好な予後が期待できる。しかし、胎児例では周産期死亡や子宮内死亡が稀でなく、横隔膜へルニアと同じようなhidden mortalityが存在することが知られるようになった。その病態生理が解明されつつある。

2. 疫学

発生頻度は35000~40000出生に1例と言われており、本邦では年間20~30例の児が誕生する計算になる。男女比は1:3-4で女児に多い。

3. 原因

不明

4. 症状

仙尾部、骨盤内の巨大腫瘍
胎児:貧血、羊水過多、尿路閉塞、腫瘍内出血、心不全、胎児水腫、胎児死亡
新生児:早産、腫瘍破裂、貧血、直腸膀胱障害、悪性化

5. 合併症

高拍出性心不全、胎児水腫、ミラー症候群、腫瘍からの出血、腫瘍破裂、悪性化、下肢運動障害、直腸膀胱障害など

6. 治療法

摘出術
報告のある胎児治療:胎児手術、ラジオ波焼灼、レーザー凝固、アルコール注入、
嚢胞羊水腔シャント

7. 研究班

胎児仙尾部奇形腫の実態把握・治療指針作成に関する研究班