免疫系疾患分野|高IgD症候群(平成23年度)

こうIgDしょうこうぐん
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1. 概要

コレステロール生合成の経路に関わるメバロン酸キナーゼの機能低下によって生じる周期性発熱症候群。メバロン酸キナーゼの完全欠損ではより重篤なメバロン酸尿症の病型を取る。主として欧州で発見され欧州の症例では血清IgDが高値である症例が多く、高IgD症候群という疾患名が採用されている。本邦ではIgD高値でない症例が不明熱として正確な診断を受けずに治療されていた症例の報告があり、欧米で報告されてきた臨床像が本邦でも該当するか明らかでないのが現状である。

2. 疫学

アンケートによる一次調査においては、確定診断例9例、疑診例7例ということであったが、それを受けて行った個別の二次調査により、確定診断例は6例に留まることが判明した。高IgD症候群の診断に至る過程に大きな問題があることが判明し、今後診断法に至る過程を確立することにより、正確な患者の把握が可能になることが期待される。日本における推定患者数は、10~20名である。

3. 原因

より重症型の病型をとるメバロン酸尿症とともにメバロン酸キナーゼをコードする遺伝子 mvk の変異による連続的な病因であることが2004年に判明し、より正確な診断が可能となった。しかしながら、メバロン酸キナーゼの欠乏がなぜ周期熱症候群の病型を取るのかに関しては、現時点では明確な回答はなされていない。

4. 症状

乳児期より始まる4~6日程度持続する周期性の発熱発作が大きな特徴で、発作の際には頭痛・嘔吐・下痢・腹痛・リンパ節腫脹を伴う。その他に、肝脾腫、発疹、関節痛、関節炎、アフタ性口内炎を伴う。血清IgD高値を取ることは必須ではなく、海外報告では20%以上の患者ではIgDは正常である。なお、現在の本邦で判明している症例では、そのほとんどがIgDは正常である。

5. 合併症

腹膜炎に続発する腹腔内癒着が10%程度、関節拘縮、アミロイドーシスも数%に見られる。重症例では精神発達遅滞や痙攣を合併する症例もある。また、乳児期からの発熱発作による学習の遅れが約半数の患者で見られ、20%程度が高等学校の卒業が出来ていない。また、26.4%の患者が成人後も職に就くことができず、社会的機能に障害を来たしているとの報告が欧州でなされている。

6. 治療法

ステロイド剤が中心となる。メバロン酸を合成するHMG-CoA還元酵素阻害薬であるstatinが有効とされる症例もある。近年TNFαやIL-1βに対する生物学的製剤の有効例も報告されているが、明確に有効であるとは言い難い。

7. 研究班

日本人特有の病態を呈する高IgD症候群に向けた新規診療基盤の確立