代謝疾患|メチルマロン酸血症(メチルマロン酸尿症)(平成23年度)

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1. 概要

先天性有機酸代謝異常症の一つで、体内にメチルマロン酸を中心とする有機酸が蓄積し、ケトーシス、アシドーシスを生ずる遺伝性疾患の総称。

2. 疫学

本邦の発症頻度は40〜50万人に一人と考えられており、患者数は約150名と推定される。

3. 原因

メチルマロニルCoAからサクシニルCoAへの代謝を触媒する酵素であるメチルマロニルCoAムターゼの欠損とその補酵素であるビタミンB12(コバラミン)の代謝異常に大別される。ムターゼ欠損が50%をしめる。コバラミン代謝異常はさらにA〜Dの四型に分類される。原因遺伝子が同定され、遺伝子検査による確定診断が可能であるが、どの遺伝子異常も同定されない病型も存在する。

4. 症状

急性期(アシドーシス発作時)は頻回の嘔吐と脱水、呼吸窮迫、意識障害をきたす。慢性的には嘔吐と食欲不振、成長障害、発達遅滞、肝腫大、易感染性、骨粗鬆症を認める。約半数の例で版血球減少症を認める。症状は病型によって差異がある。

5. 合併症

メチルマロン酸は腎臓、脳内等、肝以外の組織でも産生されるため、慢性的に腎機能低下・進行性腎不全を合併する。 精神遅滞、錐体外路症状、骨粗鬆症を合併する。 食事療法により脂肪肝になりやすい。

6. 治療法

食事療法(蛋白制限、Ile,Val,Met Thr 制限)、L-カルニチン、メトロニダゾール内服。病型によりビタミンB12投与。 急性期はグルコース大量静注による異化亢進状態の阻止、アシドーシスの補正、タンパク摂取の中止、有害代謝物の血液浄化療法による除去、カルニチン投与。一部の症例で肝移植が行われている。

7. 研究班

有機酸代謝異常症(メチルマロン酸血症・プロピオン酸血症)、尿素サイクル異常症(CPS1,OTC欠損症)、肝型と右舷病の新規治療法の確立と標準化研究班