皮膚疾患分野|好酸球性膿疱性毛包炎(平成23年度)

こうさんきゅうせいのうほうせいもうほうえん
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1. 概要

好酸球性膿疱性毛包炎(EPF)は、顔面などの毛包にかゆみを伴う好酸球性小膿疱が再燃する疾患である。膿疱内容物に多数の好酸球が存在し、インドメタシンが有効である。しかし病態についてはほとんど明らかにされていない。近年、HIV感染にともなう症例が増加していることも注目に値する。

2. 疫学

EPFは1970年代に日本で提唱された比較的新しい疾患概念である。これまで疫学調査は成されていないため詳細は不明であるが、推定500人/年で、20-30歳代の男性に好発するとされる。

3. 原因

EPFは病理学的には好酸球が毛包に浸潤する疾患である。好酸球がEPFの病態に深く関わることは間違いないが、その病態の詳細は明らかでない。昨年度発足した本研究班の研究から、ある種の病原微生物やTh2細胞が毛包に好酸球を遊走させる引き金になることが分かってきた。好酸球を遊走させる刺激として、Toll様受容体や、Th2サイトカイン、脂質メディエータを介した刺激が候補と考えられ、現在研究が進んでいる。

4. 症状

一般に激しい掻痒をともなう。そのため不眠になるなどQOLが低下する。古典的EPFは顔面に好発し、環状に配列する膿疱が特徴的である。近年、非典型的EPFが報告されている。HIV感染症などの免疫不全患者に関連するEPFや、被髪部に生じる小児EPFがそれである。

5. 合併症

古典的EPFに合併症は通常認めない。一方、四肢や体幹の激しい掻痒をともなう非典型的EPFは、HIV感染の初期症状の可能性がある。したがってEPFの症状からHIV感染が明らかになることもある。

6. 治療法

経験的にインドメタシン内服が第一選択薬であり、7割の患者に奏効する。しかしインドメタシンの作用機序や、無効例の理由は不明である。根本的な治療は未だ確立されていない。

7. 研究班

好酸球性膿疱性毛包炎の病態解明と新病型分類の提言研究班
(好酸球膿疱性毛包炎の病態解明と、病態に基づく新たな病型分類の試み、さらには治療アルゴリズム・診断アルゴリズムの確立を目指している)