消化器系疾患分野|小腸機能不全(平成23年度)

しょうちょうきのうふぜん
研究班名簿 一覧へ戻る

1. 概要

小腸機能不全とは、ヒルシュスプルング病類縁疾患に代表される腸管運動障害は直腸末端まで腸壁内神経細胞が認められるにもかかわらず、先天的な消化管の運動機能障害を示す疾患である。著しく予後不良のものが多く、その診断治療に難渋しているのが現状である。

2. 疫学

症状は多岐にわたるため正確な患者数は把握できていない。重症例は全国で約150例程度と考えられる。新生児期に発症する例もあるが、乳時期以降に発症する例が多い。

3. 原因

本疾患の病因としては様々の要因が考えられているが、いまだ不明の点も多く、本疾患の定義・分類にはまだ定まったものはない。基本的には腸壁内の神経細胞は全長にわたって認められるため、神経細胞の機能障害と考えられる。

4. 症状

腹部膨満、腹痛、嘔吐、経口摂取困難などの慢性の腸閉塞症状を示すものが一般的である。亜系として巨大膀胱やmicrocolonが新生児期からみられる発症する病態もある(MMIHS)。経口摂取が不十分であることも多く、栄養障害(体重増加不良、成長障害)を来たす。

5. 合併症

拡張腸管の絞扼が起こることがある。手術を行うと、結果として術後癒着性イレウスを示し症状が
悪化することがある。また、経口摂取、経腸栄養だけでは十分に栄養を投与できないため長期間の静
脈栄養が必要とされる症例が多いが、静脈栄養の合併症として、肝機能障害、腎結石、カテーテル感
染、大静脈血管の閉塞があげられる。前述のごとく栄養状態不良例が多く、成長障害を来たす。重症
例では重篤な欝滞性腸炎を繰り返す。

6. 治療法

根本的な治療方法はなく、対症療法を行う。腹部膨満、嘔吐、腹痛が強い場合には、経口摂取を制
限し、中心静脈栄養を行う。減圧目的に腸瘻を造設することもある。合併症により中心静脈栄養の継
続が困難な場合は小腸移植の適応となる

7. 研究班

小腸機能不全の治療指針の作成に関する研究班