有棘赤血球を伴う舞踏病には数疾患が含まれている。大別すると脂質の吸収低下から生じる無あるいは低βリポタンパク質血症を伴う群と伴わない群とに分けられる。ここでいう有棘赤血球を伴う舞踏病は後者に分類される。代表はLevin-Critchley症候群とMcLeod症候群である。その他、ハンチントン病類症型Huntington disease-like2やPKAN:Pahtothenate kinase associated neurodegeneration (Hallervorden Spatz syndrome)などもこの群に含まれる。いずれも末梢血に有棘赤血球acanthocyteを認め、神経学的には舞踏運動を中心とする不随意運動を認める。代表2疾患の特徴を下記に示す。
1) Levin-Critchley 症候群いわゆるchorea acanthocytosis:
(1) 20歳以降に発症し、緩徐に増悪する、常染色体劣性遺伝、あるいは常染色体優性遺伝であるが、浸透率が高くないため、孤発性に見えるときもある。
(2) 口周囲(口、舌、顔面、頬部など)の不随意運動で発症することが多く、自傷行為をともない、唇、舌に咬傷を見ることが多い。咬唇や咬舌は初期には目立たないこともある。口舌不随意運動により、構音障害、嚥下障害を呈する、体肢にみられる不随意運動は舞踏運動とジストニアを主体とする。
(3) 軽度の認知障害、精神症状(人格変化、強迫行動障害などが多い)、時にてんかん発作を伴う。
(4) 軸索障害を主体とする末梢神経障害を認め、下肢遠位有意の筋萎縮、脱力、深部反射低下〜消失をみる。
(5) 血清CK値の上昇を認めることが多い。
(6) 頭部MRIやCT像で尾状核の萎縮、大脳皮質の軽度の萎縮を認める。
(7) CHAK遺伝子(VPS13A)が病因遺伝子で、遺伝子変異を認める。遺伝子産物はchoreinと呼ばれ、全身に発現している。Choreinの機能は未知である。
2)Mcleod症候群:
(1) 伴性劣性遺伝様式をとる。
(2) 50歳ごろ発症することが多い。
(3) 舞踏運動を主とする不随意運動を口周囲、四肢体幹に認め、他にチック、ジストニア、パーキンソニズムを見ることもある。
(4) 軸策型末梢神経障害を大多数の症例で認める。
(5) 筋障害(四肢筋と心筋)を認める。心筋症や溶血性貧血を認めることもある。
(6) 進行期には皮質下認知障害や行動障害を半数の症例で認める。
(7) 血清CK値の上昇を認める。
(8) 針筋電図所見では筋原性、神経原性所見の双方を認める。
(9) 頭部MRIやCT像で尾状核の萎縮、大脳皮質の軽度の萎縮を認める。
(10) 赤血球表面にあるKxタンパクの欠損とKell抗原の発現が著減している(Mcleod現象)。
(11) XK遺伝子異常がある |