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(2)ライソゾーム病(ファブリー病)らいそぞーむびょう(ふぁぶりーびょう)

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1. ファブリー病とは

ファブリー病は細胞内のリソソーム酵素の一つであるαガラクトシダーゼの活性が欠損もしくは低下して生じる糖脂質代謝異常症です。ファブリー病に二種類あります。一つは1898年にドイツの皮膚科医であるファブリーが最初に報告した古典的ファブリー病です。古典的ファブリー病は全身の症状があります。もう一つのファブリー病は、最近明らかになったファブリー病で、心臓が主に障害されます。このファブリー病は古典的ファブリー病と区別して心ファブリー病と呼ばれています。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

古典的ファブリー病はたいへん稀であり、日本での頻度も明らかでありません。白人男性では4万人に1人と推測されていますが、正確な頻度はやはり明らかではありません。一方、最近明らかになった心ファブリー病は古典的ファブリー病と比べて数多く存在します。鹿児島大学病院を受診した心臓肥大の男性患者さんの中の3%が心ファブリー病でした。このことから心ファブリー病は稀ではなく、心臓肥大の患者さんの中にある程度存在すると考えられます。今のところ、鹿児島県以外の日本全国での頻度はまだ明らかではありませんが、今後明らかになるでしょう。

3. この病気はどのような人に多いのですか

ファブリー病は、主に男性に発病します。女性では発病する人としない人がいます。古典的ファブリー病では、幼少時より症状が出現します。心ファブリー病ではほとんど男性で発病し、心臓の症状が出るのは通常40歳以降の中高年になってからです。

4. この病気の原因はわかっているのですか

ファブリー病の原因は1967年に酵素活性の異常であることがわかりました。細胞内の小器官であるリソソームの中で糖脂質の分解を行う酵素の一つであるαガラクトシダーゼという酵素の働きが、欠損もしくは低下しているのが原因です。古典的ファブリー病では、この酵素の活性が欠損しているためにセラミドトリヘキソシドという糖脂質が分解されず、血管、皮膚、角膜、神経、腎、心臓に蓄積されます。この蓄積が進行して、全身の臓器障害を起こします。酵素活性は低値ながらも残存している心ファブリー病では、主に心臓に蓄積が生じます。なぜ心臓のみに蓄積するのかはまだ明らかではありません。

5. この病気は遺伝するのですか

ファブリー病は遺伝します。αガラクトシダーゼという酵素をつくる情報をもっている遺伝子の異常が、10年前に明らかになりました。この遺伝子は、性別を決める染色体の一つであるX染色体の中にあります。そのために、男性では発病しやすく、女性では発病し難いのです。ファブリー病の母親からは男児、女児にそれぞれ2分の1の割合で遺伝し、父親からは女児には遺伝しますが、男児には遺伝しません。この遺伝の形式は、古典的ファブリー病でも、心ファブリー病でも同じです。しかし、同じように遺伝していても、患者さんにより症状の強く出る人と、軽い人がいますので、遺伝子の異常だけですべての症状や程度を説明できるわけではありません。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

古典的ファブリー病と心ファブリー病では症状が異なります。古典的ファブリー病では、幼少時より始まり、症状に特徴があります。四肢の痛みで、たとえば風邪などで体温が上昇したときに、通常の鎮痛剤では治まらない程の強い手足の痛みがあります。この痛みはカルマバゼピンという薬ですぐに治まります。それに、腹部や外陰部の皮膚に無症状の1〜2mmの赤暗紫色のわずかに盛り上がった皮疹があります。汗をかきにくいのも特徴です。そのために特に夏は体温が上昇しやすく、日光の当たる屋外よりも涼しい屋内や、水風呂にはいると体調がよくなります。角膜の混濁も特徴的ですが、視力障害などの自覚症状がないために、眼科で偶然見つかることがあります。青年期以降になると、尿蛋白など腎機能障害が出現して、20〜40歳頃になると次第に腎不全の状態になります。その他、脳血管障害の症状や心肥大、不整脈などの心臓の異常が出現してきます。女性では通常、症状が男性に比べて軽いか、もしくは症状がないのが特徴です。心ファブリー病では、40歳頃までは普通症状はありません。40歳を過ぎた頃より、人によっては70歳頃になってから、心臓肥大が認められるようになります。最初は、心電図や心エコー検査で心臓肥大に伴う異常が見つかりますが、自覚症状は最初はありません。心臓肥大が進行してくると、息切れが生じるようになり、次第に心不全が出現するようになります。不整脈も出現するようになり、それを動悸として感じることがあります。また人によっては脈が遅くなり、心臓ペースメーカーを必要とすることがあります。古典的ファブリー病と異なり、全身症状がなく、心臓肥大が主症状となるために、ファブリー病と診断されずに、原因不明の心臓肥大、すなわち肥大型心筋症と診断されている場合があります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

ファブリー病の原因はαガラクトシダーゼ酵素活性の欠損もしくは低下ですが、今のところ、この酵素の異常を改善させる根本的治療法は確立されていません。そのため現在の治療は、基本的に対症療法になります。すなわち、古典的ファブリー病において、強い手足の痛みに対してはカルマバゼピンという薬がたいへん効果があります。また、腎機能障害が進行して、腎不全になった場合は、通常血液透析を行いますが、腎臓移植を行う場合もあります。心ファブリー病では、心肥大が軽度で心臓の働きも良い初期の場合は、特に治療は必要ではなく、定期的な検査を受ければ充分です。肥大が進行して、呼吸困難など心不全の症状が出てきた場合は、強心剤や利尿剤など、心不全に対してよく利く薬があります。不整脈が出現して、特に脈が一分間に40以下と少なくなり、症状が出てきた場合は、心臓ペースメーカーを用いて脈を正常に保つ治療ができます。現在、ファブリー病で欠損もしくは低下している酵素と同じ酵素を人工的につくり、2週間に1回静脈から点滴する酵素補充療法の研究がアメリカで始まりましたので、近い将来、日本でも治療に用いられるようになるでしょう。この治療法と並行して、ファブリー病の根本的療法となる遺伝子治療の研究も進行中です。

情報提供者

研究班名循環器系疾患調査研究班(特発性心筋症)
情報更新日 平成14年6月1日

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