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慢性炎症性脱髄性多発神経炎 chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy :CIDP は2ヶ月以上にわたる慢性進行性あるいは階段性、再発性の左右対称性の四肢の遠位、近位筋の筋力低下・感覚障害を主徴した原因不明の末梢神経疾患である。病因は末梢神経ミエリンの構成成分に対する免疫異常により生ずる自己免疫性疾患と考えられているが、詳細は不明である。
臨床症候は四肢の運動障害(手足の脱力、筋力低下)、ときに感覚障害(手足のしびれ、痛み)を認め、時に脳神経障害、自律神経も障害されることもある。明確な病型分類はないが、亜急性または慢性(2ヶ月から数ヶ月以上)に進行する型(慢性進行型)、再発と寛解を繰り返す型(再発寛解型)がある。四肢の腱反射は低下あるいは消失する。脳脊髄液検査では蛋白細胞解離を認める。電気生理学的検査では運動神経の遠位潜時の延長、伝導速度の遅延、F波潜時の延長、F波の消失、伝導ブロック、異常な時間的分散などの脱髄を示唆する所見を認める。神経生検における電子顕微鏡・ときほぐし検査で脱髄または再髄鞘化の所見を認める。画像診断では馬尾神経、腰髄、仙髄または頸髄神経根あるいは腕神経叢、腰仙骨神経叢のガドリニウム造影効果、神経肥厚を認める。またステロイド療法、血液浄化療法、免疫グロブリン静注療法などの免疫療法後の臨床症状の改善は診断を支持するものである。
近年、EFNS/PNS (2005) European Federation of Neurological Societies / Peripheral Nerve Society Guideline on management of CIDPによる診断基準が設定され、臨床診断基準、電気診断基準、支持基準からDefinite, Probable, Possibleに分けられる。
臨床的診断基準では、CIDPを典型的と非典型的に分ける。典型的CIDPは2ヶ月以上にわたる慢性進行性あるいは階段性、再発性の左右対称性の四肢の遠位、近位筋の筋力低下・感覚障害があり、四肢の腱反射は低下あるいは消失する。非典型的CIDPは以下の1項目がみられるが、他は典型的CIDPに準ずるもので、1)遠位筋優位の筋力低下、2)一次感覚神経の中枢過程を障害する慢性感覚性免疫性多発神経炎を含む、純粋運動または感覚障害所見 3)左右非対称性障害所見、4)局在所見、5)中枢神経障害がある。
電気診断基準は、1)遠位潜時の延長、2)伝導速度の遅延、3)F波潜時の延長、4)F波の消失、5)伝導ブロック、6)異常な時間的分散、7)CMAP陰性部分の持続時間の延長、以上の少なくとも1項目を認める。
支持基準として、1)脳脊髄液所見(蛋白細胞解離)、2)MRI画像診断、3)神経生検(電顕・ときほぐし検査で脱髄所見)、4)免疫治療後の臨床的改善をあげている。 |