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クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)くろいつふぇるとやこぶびょう(CJD)

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■定義

クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、その亜型で遺伝性を示すゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群(GSS)、ニューギニアのクールー病等は遅発性ウイルス感染症の範疇に入れられていた。しかし、ウイルスは検出されず、共通して異常なプリオン蛋白(PrPsc)が証明されることから、このPrPscが病原と考えられるようになり、プリオン病とも呼ばれることもある。

動物では牛(牛海綿状脳症)、羊(スクレイピー)、鹿(Chronic Wasting Disease)などが同一の症候群に属し、いずれも海綿状脳病変を示し、伝播性もあるところから伝播性海綿状脳症と総称されることもある。

■疫学

本疾患の有病率は100万人に一人前後と言われ、その8割は孤発性症例で、地域分布に大差はない。男女差はなく、発病は50〜70歳代が多い。約2割に遺伝性症例があり、発病が早い(40歳代)ものもある。英国で発生した牛海綿状脳症(BSE“狂牛病”)がヒトに感染した疑いのある変異型CJDが、2005年2月に我が国でも確認された。また、我が国の全国調査で判明した乾燥脳硬膜製品を移植した手術後,数年から20年以上を経て発病した症例が存在することなどから,感染性機序が改めて問題となっている。海外では脳外科手術後の発症例なども報告されているが、我が国ではその様な例は報告がない。

■病因

CJD部検例の脳乳剤を実験動物に投与すると動物は海綿状脳症を発症する。このような海綿状脳症に共通して見られる感染因子がプリオンと呼ばれる。プリオン蛋白(PrP)は正常の人でも脳に発現している。正常PrPはPrPcと称されていおり蛋白分解酵素で消化される。一方、プリオン病の脳内に見られる異常なPrPはPrPscと呼ばれ、蛋白分解酵素で消化されにくい。また、正常のPrPcとは分子の立体構造が異なっており、不溶性で、凝集塊となり、アミロイドの性質を示す。

プリオン説によれば、PrPcにPrPscが接触すると、PrPcがPrPscに変換して、脳内に蓄積して発病する。しかし、変換の機序は現在なお不明である。

遺伝性CJDでは、PrP遺伝子に変異が存在し、そのため異常なPrPが産生されると考えられている。しかし、孤発性CJDでは、遺伝子の変異は認められず、伝播の機序は分かっていない。

■症状

(1)孤発性CJD

プリオン病のほぼ8割を占め、プリオン蛋白遺伝子の変異はなく、平均発病年齢は65歳前後で、ほぼ均一な臨床・病理所見を示す。

(2)遺伝性プリオン病

孤発性CJDよりも発病年齢は早いことが多く、プリオン蛋白遺伝子の変異に応じて症状,経過,病理所見が異なるため診断が困難なことがある。
その代表であるゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病(GSS)と特異な病態を示す致死性家族性不眠症(FFI)については別項に示す。
孤発性CJDとほぼ同一の病態を示す家族性CJDが最も多い。
これらの診断にはプリオン蛋白及びその遺伝子の検索が必要である。

(3)感染性CJD

(1) 変異型CJD(variantCJD)

ヒツジのスクレイピーは他種の動物には自然感染を起こさないといわれていたが、1986年頃から英国の乳牛に大流行をきたし、次いでヒトヘの感染が疑われる症例が1996年3月に“新変異型CJD”として発表され、その後”新”は削除された。
発表当初の10症例の平均発病年齢は29歳で、従来の孤発性CJDとは大きく異なっている。
病理学的には多量のプリオン蛋白が脳内ではびまん性、塊状、花びら状(florid plaque)に沈着し、口蓋扁桃やリンパ節にも異常プリオン蛋白の沈着が証明された。
リンパ球などの血液成分を介する感染を避けるため、英国在住者の血液は血液製剤の原料として用いず、輸血の際にも白血球などを除いて用いている。
2005年2月に我が国でも変異型CJDの最初の例が確認された。
BSE流行時(1980〜1996年)の英国に長期間(6カ月以上)滞在したヒトからの献血は受けつけない方針を我が国を始め多くの国が採用している。

(2) 脳硬膜移植後CJD

996年5月から行われた全国調査で、乾燥脳硬膜製品の移植後に発生したCJDが多数発見され、2006年3月までに124例に達している。
移植を伴う手術は1973〜1991年、特に1983〜1987年の5年間に行われたものが多く、CJD発病までの期間は25カ月から16年(平均7.4年)であった。1987年後半からの製品では安全対策が取られたためにCJD感染の危険性は減少したが、現在は全面的な販売、使用禁止措置が取られている。

その他、脳下垂体製剤や角膜移植後のCJD発病例も少数報告されている1)。
臓器製剤や臓器移植などの際には厳重な注意が必要である。具体的な注意としては、まずプリオン病の患者や動物などの臓器を原材料として使用しないことが最も重要である。
また、変異型プリオン蛋白遺伝子をもつヒトからの原材料も避けるべきである。
次に、その臓器製剤がどのような投与方法に用いられるかによって注意の度合いは異なってくる。
脳内・頭蓋内に投与されるものは格段の注意が必要であり、血管内投与,皮下投与がこれに続き、経口投与、外用という順に続く。まとめると、臓器製剤・臓器移植でのドナー選択が最も肝心であり、使用方法として脳内投与が考えられるなら、最も厳しいドナー選択が必要である。
これらの感染性CJDの発病年齢は様々であり、発病後の病像に関しては多くの例では孤発性古典型CJDと大差がないが、一部に経過が緩徐で非典型的なものも存在する。

■治療

特異的な治療法は未確立である。他への感染防止のため、患者の臓器、血液、脳脊髄液等の取り扱いには注意を要する(ガイドライン参照)。

■予後

孤発性症例では進行が速く1〜2年で死亡する。遺伝性CJDや一部の孤発性CJDは進行が遅く数年に及ぶものもある。

関連ホームページのご紹介

プリオン病及び遅発性ウィルス感染症に関する調査研究班

厚生労働省

ヤコブ病サポート・ネットワーク

東京医科大学神経生理学講座プリオン病ガイドライン等

東北大学プリオン蛋白研究部門

長崎大学第1内科神経グループ

診療マニュアル

クロイツフェルト・ヤコブ病 診療マニュアル
(厚生労働省遅発性ウイルス感染調査研究班)

 診療マニュアル(改訂版)(ファイルサイズ 約:1.6MB)

このマニュアルは、クロイツフェルト・ヤコブ病をはじめとしたプリオン病の治療、検査、感染因子の滅菌法、感染防御等について、現在把握し得る最大限の情報を基に構成されています。(医療従事者向け)

プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班から

プリオン病 研究成果(pdf 26KB)

この疾患に関する調査研究の進捗状況につき、主任研究者よりご回答いただいたものを掲載いたします。

プリオン病感染予防ガイドライン(2008年版)要約(pdf 394KB)

このガイドラインは「クロイツフェルト・ヤコブ病感染予防ガイドライン」(平成15年3月)の改訂版として取りまとめられたもの(要約)です。(平成20年9月掲載)

この疾患に関する関連リンク

  プリオン病について(研究班ホームページ)

情報提供者

研究班名プリオン病及び遅発性ウィルス感染症に関する調査研究班
情報見直し日 平成20年5月20日

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