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1. 肥大型心筋症とは

原因不明の心筋疾患(特発性心筋症のひとつ)で、心臓の壁が厚くなる(肥大)ため、左心室(時には右心室)の内腔が狭くなり心房から心室へ血液が流れ込みにくくなってしまう病気です。心臓のポンプ機能(収縮性)は一般に良好です。心臓肥大をきたす病気には高血圧や心臓弁膜症などがありますが肥大型心筋症ではこれらの原疾患が明らかでないのに肥大をきたします。また左室の壁の肥厚が一様ではなく、奇怪な形を示すことが特徴です。肥大が高度で収縮時に左室の血液が流れ出る道(流出路)が狭くなる場合、閉塞性肥大型心筋症と呼ばれます。また心筋の壁が厚くなる部位により心室中部閉塞性肥大型心筋症、心尖部肥大型心筋症などと分類される場合があります。全く無症状のまま天寿を全うする方も少なくありませんが、不整脈が出現したり、心不全や脳梗塞を合併したりすることがあります。また、さまざまな病態を示しうる疾患ですので、症状の有無にかかわらず治療を要すことがあります。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

3. この病気はどのような人に多いのですか

平成11年の厚生省の調査では全国推計21,900人であり、10万人あたり17.3人でした。しかし、この調査は病院を受診した人であり、この病気は無症状の方が多いため実際にはもっと多いと考えられています。男女比は2.3:1と男性に多い傾向があります。

4. この病気の原因はわかっているのですか

遺伝的に発症している方(家族性例)の半数以上では、心筋収縮関連蛋白(心臓の筋肉が収縮する際に働く一群の蛋白)の遺伝子異常が原因であることが判明しています。家族内発生がない方も、同様な遺伝子異常を有す場合があります。しかしながら原因不明の方も多く、遺伝子異常があったとしても、その診断自体、商業レベルでは行われていません。

5. この病気は遺伝するのですか

約50%に家族内発生が認められ、その場合は常染色体優性形式により遺伝します。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

本症では大部分の患者さんが、無症状かあるいはわずかな症状を示すだけのことが多く、たまたま検診で見つかるケースや家族内に同じ病気があって気付かれることなどが主です。突然死によって発見されることもまれではありません。

症状があるときには運動したときの呼吸困難、胸の痛みなどのほか、閉塞型では運動時に呼吸困難やめまい、失神などが出現することがあります。これは左心室から血液が出てくる部分が狭くなっているため、運動したとき、全身に血液が充分送られないためです。心室頻拍や心房細動などの不整脈をきたしやすく、動悸もよくみられる症状です。聴診すると、血液が拍出されるときの雑音が聞こえます。心電図で心肥大や陰性T波などの所見が見られます。心エコー(超音波)検査がたいへん有効で、中隔部分の筋肉が厚くなっているのを見ることが出来ます。確定診断には、心臓カテーテル検査で心臓の内腔の圧を調べたり、組織像を調べるための心筋生検が行われます。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

軽症例では、とくに薬物治療は必要のないものもあります。しかし心臓が肥大しやすい体質があると考えられているため、心臓に負担をかけないことです。とくに激しい運動はよくありません。薬としては、左心室を拡がりやすくするためにβ交感神経受容体遮断薬やカルシウム拮抗薬を用います。この病気の人が心房細動という不整脈になると、心不全が急に悪化したり、塞栓症を生じたりするので、血を固まりにくくする抗凝固療法を加えます。また、突然死は重い不整脈によると考えられているので、不整脈を抑える薬も使われることがあり、植込み型除細動器が必要となることもあります。また、筋肉の肥厚が強く狭窄の著しい例では、エタノール注入による筋肉の焼灼術や外科的に厚くなった筋肉を切除することもあります。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

一般的に予後は良好ですが、時に急死をきたしたり、心臓の内腔が拡張しポンプ機能(収縮性)が弱まってくる拡張型心筋症の様になる場合があり、心移植が必要となることもあります。

情報提供者

研究班名循環器系疾患調査研究班(特発性心筋症)
情報見直し日 平成21年11月17日

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