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1. PRL分泌異常症とは

下垂体から分泌されるプロラクチン(PRL)が過剰または不足した場合に生じる病的状態です。プロラクチン(PRL)の分泌が過剰状態の女性は、乳汁漏出、無月経を伴うことが多いので、乳汁漏出・無月経症候群ともよばれます。プロラクチン(PRL)分泌低下症は分泌欠損症ともよばれます。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

平成5年度の研究班全国調査では、プロラクチン(PRL)過剰分泌症869名、プロラクチン(PRL)分泌低下症332名の存在が報告されています。プロラクチン単独欠損症の報告はありません。

平成13年度の全国調査では、191名のプロラクチン(PRL)分泌低下症の存在が報告されています。

3. この病気はどのような人に多いのですか

 平成5年度の研究班全国調査では、プロラクチン(PRL)過剰分泌症の81%は女性です。男女比は1:4となります。発症年齢では21−40歳の成人女性に多発する傾向があります。平成13年度の全国調査では、プロラクチン(PRL)分泌低下症の男女比は1:2でした。

発症年齢は11−75歳に広く分布しています。

4. この病気の原因はわかっているのですか

プロラクチン(PRL)の過剰分泌症は、下垂体PRL分泌細胞の異常、視床下部分泌調節機構の異常のいずれによっても生じます。日常最も多いのは種々の薬剤の影響です。下垂体PRL分泌に抑制的に作用する視床下部ドーパミン機構に拮抗的に作用する降圧薬、抗潰瘍薬、多くの中枢神経薬はPRL分泌を促進します。避妊薬もPRL分泌を促進します。下垂体PRL産生腺腫は下垂体腫瘍の中で最も多い腫瘍です。原発性甲状腺機能低下症、胸部外傷、精神疾患、腎不全などにおいてもPRL分泌亢進がみられます。原因が明らかでない特発性の高プロラクチン血症も存在します。

プロラクチン(PRL)の分泌低下症は非機能性下垂体腺腫、シーハン症候群や特発性下垂体機能低下症によって生じます。

5. この病気は遺伝するのですか

非常にまれですが、複合下垂体ホルモン欠損症といって、他の下垂体から分泌されるホルモンとともにプロラクチン(PRL)の分泌低下がみられる遺伝性疾患があります。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

プロラクチン(PRL)過剰分泌症の女性では無月経の他、月経不順、無排卵性性器出血などの月経異常、乳汁漏出、不妊などが高頻度にみられます。男性では下垂体腫瘍や視床下部の器質的な病変に伴う頭痛、視力視野障害、嘔気などが主な症状です。性欲低下、性機能低下を自覚する頻度も多く、男性でも一部では乳汁漏出を呈します。プロラクチン(PRL)低下症の女性では分娩後の授乳に際して乳汁分泌が認められません。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

プロラクチン(PRL)分泌異常の原因になっている病変の原因を取り除く療法が優先されます。薬物服用によるPRL過剰分泌症においては、原因薬剤の投与を中止することによって通常2−4週以内に症状は改善されます。甲状腺機能低下症では、甲状腺薬の補充のみで、甲状腺機能の正常化にやや遅れてPRL分泌の正常化が観察されます。下垂体PRL産生腫瘍によるプロラクチン分泌過剰症は、内科的薬物療法、外科的手術療法、両者の併用のいずれかによって治療されます。

最近の薬物治療の成績は良好ですので、妊娠などを希望する場合には薬物療法が優先される傾向にあります。ブロモクリプチン、カベルゴリン、テルグリドの経口投与によって、治療開始3ヵ月以内に血中プロラクチン値は正常範囲内に低下する症例が多いと考えられます。血中プロラクチン値が低下した症例では、乳汁漏出や月経異常、性機能の改善が認められます。プロラクチン分泌低下症に対する補充療法は通常の臨床には用いられていません。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

プロラクチン分泌過剰症の女性において、本症の治療によって不妊症の改善成績は良好です。原因疾患にもよりますが60−80%が妊娠可能になると考えられます。性腺機能低下が持続すると骨粗鬆症などの老化を加速する原因となります。下垂体プロラクチン産生腫瘍は、一般に良性ですが、まれに癌化して転移性の変化を示すことがあります。一部の下垂体プロラクチン産生腫瘍は巨大な腫瘍に進展して、下垂体から上部の脳や周辺の組織を圧排して中枢神経機能障害の原因となることがあります。小さな下垂体プロラクチン産生腫瘍は薬物投与のみによって消失したり増大しない傾向にあります。

プロラクチン分泌低下症の予後は、原因疾患によって左右されます。

情報提供者

研究班名内分泌系疾患調査研究班(間脳下垂体機能障害)
情報見直し日 平成20年5月12日

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