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1. ハンチントン病とは

常染色体優性遺伝型式を示す遺伝性の神経変性疾患で、舞踏運動などの不随意運動、精神症状、行動異常、認知障害などを臨床像の特徴とします。これらの症状はいつのまにか始まり、緩徐ながら進行します。舞踏運動というのは、体が自分の意志がないのに動いてしまう運動の一つを指します。これらの症状は脳の特定の部分である大脳基底核や大脳皮質が萎縮してしまうために生じます。これらの変化はCTやMRI等の画像検査でみることができます。最近、ある遺伝子に異常が起こることが発症に関係することが明らかとなりました。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

コーカソイドでは人口10万人あたり4〜8人の患者さんがいると報告されていますが、わが国の調査では約0.5人と欧米の1/10です。発症頻度が人種によりやや異なる傾向があるようです。

3. この病気はどのような人に多いのですか

30歳くらいでの発症が多いのですが、小児期から老齢まで様々です。男女差はほとんどありませんが、優性遺伝の病気なので両親のどちらかが同じ病気であることがほとんどです。一般に子供のほうが若い年齢で発病する傾向があり、男親が病気である場合により目立つことが多いようです。

4. この病気の原因はわかっているのですか

第4染色体に局在している遺伝子(IT15 またはhuntintin)に正常には見られない変化が生ずることで発症することがわかっていま。.遺伝子には4種類の核酸があります。正常のIT15遺伝子の一部には核酸3個(シトシン・アデニン・グアニン)の繰り返し配列がありますが、ハンチントン病の患者さんではこの繰り返しが異常に伸びています。この異常に伸びた繰り返しによって病期が起こることが明らかになりました。長い繰り返し配列が生じる原因はまだ解明されていません。

5. この病気は遺伝するのですか

常染色体優性遺伝の形式をとり、遺伝します。

常染色体優性遺伝

ある個体の染色体は父親からのものと母親からのものの2組ずつあります。ヒトでは染色体が23対46本あり、そのうち性を決定する性染色体の2本(XXまたはXY)を除いた22対を常染色体とよびます。優性遺伝疾患とは両親のどちらかから由来した遺伝子に異常があれば、他方の親からの遺伝子が正常であっても発症するものをいいます。片親が発症者であった場合子どもが発症する確率は50%です。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

初発症状

細かい運動がしにくくなったり、顔をしかめたり、手先が勝手に動いてしまうこと、落ち着かなくなったり、うつの様になったりする精神症状・行動異常などが多いようです。最近“神経質になった”とか、“くせ”とか、“行儀が悪くなった”、“そそっかしくなった”という風に、他人に見られることも少なくありません。

不随意運動(舞踏運動)

自分の意志とは無関係に生ずる顔面・四肢のすばやい動きが多くみられます。手先が勝手に動く、首を動かす、顔をしかめる、舌打ち、などが目立つ症状で、舞踏運動と呼ばれます。箸を使う、字を書くなどの細かい運動がしにくくなる、歩行が不安定になる、発音がはっきりせず会話がうまくできなくなる、飲み込みがしにくくなるなどの症状が出てきます。

精神症状,行動障害,認知症

普通の認知症と異なり、物忘れや記憶障害は目立ちませんが、計画して実行する能力や全体を把握する能力などが障害される傾向にあります。むしろ,怒りっぽくなったり、異様に同じことを繰り返すなどの性格変化や行動変化が目立ちます。ふさぎ込みなどうつ症状が強いと自殺企図が見られることもあります.

7. この病気にはどのような治療法がありますか

残念ながら、現在のところ根本的な治療法はありません。 不随意運動、うつ症状・神経症症状などには、症状を緩和するためにお薬を使用することがあります。その場合には神経内科専門医による症状のコントロールが必要です。最近、海外ではあるお薬がこの病気に使用されるようになりました。わが国でもこのお薬が使えるようになるような試験が計画されているようです。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

患者さんによって症状がかなり異なるので、一概にいうことはできません。同じ家系内でも、症状は様々なことが多いようです。典型的には、社会生活を独力で送ることが困難になるほどに症状が進行するのには発病から10年以上かかるようです。

情報提供者

研究班名神経・筋疾患調査研究班(神経変性疾患)
情報更新日 平成21年3月31日

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