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難治性ネフローゼ症候群 |
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■概念・定義 |
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ネフローゼ症候群は、高度の蛋白尿に起因する低蛋白血症、 浮腫、及び高脂血症を呈した臨床病態である。高度の蛋白尿の原因には、糸球体基底膜の分子篩の障害と陰性荷電の減少が想定されている。原因疾患により、一次性と二次性に分けられるが、一次性は腎臓原発の疾患による場合であり、二次性は全身性疾患に続発する場合である。二次性の原因疾患にはさまざまなものがあるが、全身性エリテマトーデス、糖尿病性腎症、アミロイドーシスなどが代表的である。
以下に示すネフローゼ症候群の診断基準、治療判定基準、難治性ネフローゼ症候群の定義は、これまでの厚生省特定疾患ネフローゼ症候群調査研究班、厚生労働省の難治性疾患克服研究事業等で決定されたものである。
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■疫学 |
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平成21年度厚生労働症難治性疾患克服事業進行性腎障害に関する調査研究班として行った難治性ネフローゼ症候群の実態調査に関するアンケートの結果では、ネフローゼ症候群患者は新規に5000-6000人程度発症しており、その内、難治性ネフローゼ症候群になるのは1000-1200人程度である。
日本腎臓学会の腎生検レジストリーに登録された患者の約20%がネフローゼ症候群で、一次性ネフローゼ症候群の内訳は、微小糸球体変化が38.7%,膜性腎症37.8%,巣状分節性糸球体硬化症11.1%,膜性増殖性(T型,V型)6.6%,メサンギウム増殖性2.9%,半月体形成性壊死性1.4%であった.難治性ネフローゼ症候群の発症率は今後の前向き研究、日本ネフローゼ症候群コホート研究で明らかになる予定である。 |
■病因 |
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ネフローゼ症候群の原因は、糸球体上皮が障害され、その陰性荷電喪失がアルブミンの透過性を高め、大量の尿蛋白(アルブミン)の漏出をもたらす。その異常として、遺伝子異常や免疫異常などが考えられている。小児の遺伝性ネフローゼ症候群、巣状糸球体硬化症をきたす nephrin, podocin,CD2AP,TRPC6, ACTN4, MYH9欠損などが報告されている。遺伝子異常以外の原因は不明である。 |
■症状 |
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ネフローゼ症候群の症状は低蛋白血症に基づく浮腫であるが、長期にわたって低蛋白血症が続く難治性では、血栓症、急激な腎機能障害、感染症などに対する注意も必要である。 |
(1)浮腫 |
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程度は様々であり、下腿浮腫や顔面浮腫が初発であるが、高度の場合には胸水や腹水の発現をともなう全身浮腫が認められる。 |
(2)脂質異常症 |
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総コレステロール値の上昇が主体であるが、中性脂肪(TG)の増加を伴う場合もある。WHO分類のII型のほかにIV型やV型を呈する症例もみられる。低比重リポ蛋白(LDL)と超低比重リポ蛋白(VLDL)の増加、高比重リポ蛋白(HDL)の低下を示す。脂質異常 の発生機序として、(1)肝での代償性アルブミン合成亢進に付随した LDLやVLDL合成の亢進、(2)LDL受容体の活性低下に伴うLDLクリアランスの低下、(3)毛細血管でのlipoprotein lipase活性の低下によるTGの上昇、(4)HDLの尿中への喪失などが考えられる。 |
(3)血栓症 |
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動脈、静脈のいずれにも生じる危険性があり、とくに高齢者において腎静脈血栓症、脳血栓症などを合併する。原因として、血小板凝集能の亢進、高フィブリノゲン血症、フィブリン形成の亢進、antithrombinVの低下などがみられる。 |
■治療 |
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治療の主体は副腎皮質ステロイド療法であり、種々の免疫抑制薬、抗血小板薬、及び抗凝固薬が併用される。血漿交換療法やLDL吸着療法も試みられている。副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬が長期間投与されることが多いので、副作用には細心の注意が必要である。
一次性難治性ネフローゼ症候群を示す代表的な腎疾患である膜性腎症や巣状糸球体硬化症については、平成13年度厚生労働省特定疾患腎障害に関する調査研究班では以下のような治療指針が示された。 |
(1)膜性腎症 |
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1. 副腎皮質ステロイドの投与法は、プレドニゾロン40mg/日を4〜8週投与し、4〜8週毎に10 mg/日ずつ漸減する。
2. ステロイド抵抗例(プレドニゾロン40mg/日を4〜8週投与しても完全寛解や不完全寛解T型にいたらない例)には、免疫抑制薬(シクロホスファミド50〜100 mg/日を8〜12週、シクロスポリン1.5〜3.0 mg/kg/日を3〜6カ月、ミゾリビン150 mg/日を3〜6カ月など)を追加する。
3. 必要に応じ、蛋白尿減少効果と血栓症予防を期待して抗凝固薬や抗血小板薬を併用する。
4. 高血圧を呈する症例ではアンジオテンシン変換酵素阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬の使用を考慮する。 |
(2)巣状糸球体硬化症 |
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1. 副腎皮質ステロイドの投与法は、プレドニゾロン40mg/日を4〜8週投与し、その後4〜8週毎に10 mg/日ずつ漸減する。著しい症状にはパルス療法も考慮する。
2. ステロイド抵抗例(プレドニゾロン40mg/日を4〜8週投与しても完全寛解や不完全寛解T型に至らない例)には、免疫抑制薬(シクロホスファミド50〜100mg/日を8〜12週、シクロスポリン1.5〜3.0 mg/kg/日を3〜6カ月、ミゾリビン150 mg/日を3〜6カ月など)を追加する。
3.必要に応じ、蛋白尿減少効果と血栓症予防を期待して抗凝固薬や抗血小板薬を併用する。
4. 高血圧を呈する症例ではアンジオテンシン変換酵素阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬の使用を考慮する。
5. 著しい高脂血症に対してはLDLアフェレシス(3ヶ月間に12回以内)も考慮する。 |
■予後 |
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予後も原疾患によって異なる。以下、膜性腎症と巣状糸球体硬化症の全国調査結果について示す。 |
(1)膜性腎症 |
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膜性腎症における腎生存率は10年で89%、15年で80%であり、短期から中期予後は欧米より良好といわれているが、20年腎生存率は59%に低下しており、わが国でも膜性腎症の長期予後は必ずしも良好とはいえない。しかし、膜性腎症の発症が高齢者に多く、次に述べるように高齢が危険因子となっている事実も考慮する必要があろう。腎不全に至る危険因子の多変量解析では、初診時の臨床所見として、男性、60歳以上、血液尿素窒素(BUN)高値、および血清クレアチニン(Scr)高値(1.5mg/dl以上)が有意である。また、腎生検所見では、糸球体数の20%以上に分節性硬化を認めること、および標本の20%以上に間質病変を認めることが有意となる。
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(2)巣状糸球体硬化症 |
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巣状糸球体硬化症における腎生存率は、5年で85.3%、10年で70.9%、15年で60.9%、20年で43.5%とほぼ直線的に低下しており、膜性腎症より不良である。 腎不全に至る危険因子についての多変量解析では、Scr高値(1.5mg/dl以上)が臨床所見で唯一有意であり、腎生検所見では、尿細管間質病変の重症度だけが有意である。 |
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現在、厚生労働省進行性腎障害に関する調査研究班難治性ネフローゼ症候群分科会にて新たな診療指針を作成中である。 |
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進行性腎障害に関する調査研究班から |
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 研究成果(pdf 44KB)
- この疾患に関する調査研究の進捗状況につき、主任研究者よりご回答いただいたものを掲載いたします。
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情報提供者 |
| 研究班名 | 腎・泌尿器系疾患調査研究班(進行性腎障害) |
| 情報更新日 |
平成22年2月22日 |
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