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神経線維腫症Ⅰ型しんけいせんいしゅしょうIがた(公費対象)
(レックリングハウゼン病)れっくりんぐはうぜんびょう

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(よくある質問と回答)

1. 神経線維腫症Ⅰ型(レックリングハウゼン病)とは

神経線維腫症は、皮膚、神経を中心に人体の多くの器官に神経線維腫をはじめとするさまざまの異常を生じる遺伝性の病気です。神経線維腫症のことをレックリングハウゼン病とよぶこともありますが、これは、19世紀に神経線維腫症の神経症状について報告したドイツの学者、レックリングハウゼンに由来した病名です。神経線維腫症には大きく分けて1と2の二つのタイプがあります。神経線維腫症Ⅰ型と 神経線維腫症Ⅱ型と呼ばれる二つのタイプです。神経線維腫症Ⅰ型は神経線維腫と呼ばれる腫瘍(できもの)や色素斑(しみ)など皮膚症状が強く、神経線維腫症Ⅱ型は両側の聴神経(音を感じる耳の中の器官を支配する神経です)の腫瘍を主体に皮膚病変の少ないタイプです。神経線維腫症の中では神経線維腫症Ⅰ型が多いので、単に神経線維腫症というときはだいたい神経線維腫症Ⅰ型を指しています。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

神経線維腫症Ⅰ型の患者さんの割合は人口約3,000人に対して1人の割合で、遺伝病の中では患者さんの数が多い病気といえます。患者さんの約50%は、両親のどちらかが神経線維腫症Ⅰ型であって遺伝性に発病した人です。残りの50%は、両親ともにこの病気がなくて、突然変異で神経線維腫症Ⅰ型になった人です。突然変異とは両親の遺伝子に変異(異常な変化)がなくても子供の遺伝子に変異が生じて神経線維腫症Ⅰ型になってしまうものです。

3. この病気はどのような人に多いのですか

遺伝病であり、人種や男女による頻度の差もありません。両親のどちらかが神経線維腫症Ⅰ型である場合は、その子供に病気が遺伝する確率は2分の1です。

4. この病気の原因はわかっているのですか

17番染色体の上に存在するニュウロフィブロミンと呼ばれる蛋白質をつくる遺伝子に変異があることが分かっています。この蛋白質は、我々ヒトを構成する細胞の増殖シグナルを消すはたらきがあるとされ、この蛋白質が変化した結果、細胞の増殖シグナルが消されなくなり、神経線維腫症Ⅰ型に伴う色々な症状がおこるとされています。

5. この病気は遺伝するのですか

すこし詳しく説明しますと、この病気は常染色体優性遺伝という遺伝形式で遺伝します。ヒトの染色体は46本あり、そのうち2本は性染色体で男女の性別を決めるものです。残りの44本の染色体が2本ずつ対になって22対あります。いろいろな遺伝子はこの対になった染色体にそれぞれ1個ずつ(1対、計2個)あります。神経線維腫症Ⅰ型の遺伝子はこの22対の染色体の17番染色体にあります。仮に父親が神経線維腫症Ⅰ型だとします。遺伝子は父親も母親も2個ずつもっていますが、父親の場合は片方の遺伝子に変異があります(このために神経線維腫症Ⅰ型の症状があるわけです)。子供たちは両親の2個の遺伝子のうち1個ずつを受け継ぎますが、この時、父親の変異した遺伝子を受け継ぐと神経線維腫症Ⅰ型になります。逆に、父親の変異していない遺伝子を受け継げば神経線維腫症Ⅰ型にはなりません。従って両親のいずれかが神経線維腫症Ⅰ型の場合、2分の1の確率で、生まれてくる子供に遺伝します。二番目の子供の場合も確率は2分の1です。何人子供を生んでもその都度2分の1の確率で神経線維腫症になります。

神経線維腫症Ⅰ型の遺伝

6. この病気ではどのような症状がおきますか

神経線維腫症Ⅰ型の主な症状は皮膚にできる色素斑(しみ)、皮膚の神経線維腫、目、骨の病変などですが、稀なものまで含めるとかなりたくさんあります。神経線維腫は、皮膚や、皮膚より下の組織にできる良性腫瘍で、神経性の細胞や線維性の組織、非常に細い血管などからできています。生まれたときにはなく、思春期頃から少しずつできてくるのが普通です。しかし、できはじめる時期にはかなりの個人差があり、30歳を過ぎてからできたという患者さんもめずらしくはありません。同様に、神経線維腫の数にもかなりの個人差があります。数えきれないほどたくさんできる患者さんもいれば、数個しかできない患者さんもいるのです。色素斑(しみ)はミルクコーヒーの色に似た褐色調で、カフェオレ斑と呼ばれています。生まれた時からあるのが普通で、すべての患者さんに生じる症状ですが、神経線維腫症ではない人にも数個であればみられることがあります。このため、神経線維腫がなくカフェオレ斑だけで診断しなくてはならない子供の患者さんなどでは、カフェオレ斑が何個あるかが問題になります。実際には、大人の場合で1.5cm以上のものが、子供の場合で0.5cm以上のものが6個以上あれば神経線維腫症Ⅰ型の可能性が高いと言われています。

主な症状とおおよその初発年齢、合併率

7. この病気にはどのような治療法がありますか

現時点では、患者さんを完全に神経線維腫症Ⅰ型から解放できるような根本的な治療法はありません。しかし、神経線維腫症Ⅰ型によってもたらされるいろいろな症状に対する治療は可能です。行うべき治療は患者さんによってさまざまですが、皮膚の神経線維腫や色素斑は皮膚科医や形成外科医、発達や成長の心配があれば小児科医、骨格の病変は整形外科医など症状に応じて専門の医師を受診することが必要です。具体的には、神経線維腫が大きくなって垂れ下がったり、出血したりする場合には外科的手術をしてとってしまいます。小さな線維腫でもたくさんできてきて、見栄えが気になるときには手術をしてとることができます。皮膚の色素斑はあまり目立たないことが多く、ふつうは治療の対象にはなりません。どうしてもというときはレーザー治療などをすることもあります。骨格や骨の病変は整形外科医のきちんとした定期的診察が必要です。脊椎の曲りが強いときは、支柱をつける手術ができます。受診した病院でわからないことがあれば、医師に対してどんどん質問してください。神経線維腫症Ⅰ型に詳しい医師の紹介を依頼することも時に必要です。詳しい医師に説明を聞き、検査を受けることも大切です。思いつきでつぎつぎに病院を変えることは避けましょう。一旦、神経線維腫症Ⅰ型と診断された場合、その時点では治療の必要がなくても、今後起りうる症状に対処していくために定期的診察と経過の観察が大切です。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

ほとんどの神経線維腫症Ⅰ型の患者さんにカフェオレ斑と神経線維腫が出現します。カフェオレ斑の多くは生まれた時からありますが、神経線維腫は、生まれたときにはなく、思春期頃から少しずつできてくるのが普通です。その他眼、骨などの症状は様々の頻度で、様々の年齢に出現しますので、必ずしも全部の患者さんにみられるとは限らない神経線維腫症Ⅰ型の特有の症状がいくつもあります。患者さんの年齢によって気を付けなければならない症状が異なりますので、医師の定期的診察を心がけて下さい。ごく稀に神経線維腫が悪性化した場合などを除いて、神経線維腫症Ⅰ型自体で死亡することはほとんどありません。神経線維腫が多発して美容的に気になったり、子供に2分の1の確率で遺伝する病気ですので結婚して子作りの時に悩む患者さんがいますが、立派に社会人として生活なさっている方がほとんどです。

情報提供者

研究班名皮膚・結合組織疾患調査研究班(神経皮膚症候群)
情報見直し日 平成22年2月17日

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