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1. サルコイドーシスとは

サルコイドーシスと云う病気は全身の色々な臓器に結核を始めとする感染症によく似た病巣を作る疾患です。一般にそのような病巣を類上皮細胞肉芽腫と呼んでおります。しかし、現在までその原因は明確にされていません。よく認められる症状は目のかすみ、視力低下、咳、呼吸苦、色々な皮膚の発疹、不整脈などで、肉芽腫が出来た臓器の障害として出現します。しかし一定の病変の拡大が認められる前は多くは無症状で、患者さんの約40%は気付かない人がおられます。住民検診や職場検診は今でも重要です。

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2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

患者の発生状況は世界的に北に多く南に少ないと云われ、日本でもその傾向があります。1991年の我が国の実態調査では新発見数(罹患率)は北海道は人口10万に対し1.6、九州では0.9を示していました。日本全体の患者数(有病率)は不明ですが推定では人口10万に対し7.5〜9.3と考えられております。

3. この病気はどのような人に多いのですか

男女比はほぼ同じかやや女性に多い傾向にあり、1991年の調査では男性900人に対し女性は1,500人でした。発生年令は、男性では20才代にピークを示します。女性では20才代と50〜60才代に二峰性のピークを示しますが、高年齢層のピークが著明です

4. この病気の原因はわかっているのですか

定義で述べましたように現在は不明です。しかし、病理組織が示しますように、結核を始めとする感染性肉芽腫性疾患の組織像が大変似ていることから、以前より何らかの感染症が関与しているのではないかと考えられてきました。現在日本では嫌気性菌のpropionibacterium acnesとp. granulosumの遺伝子が肺やリンパ節などがら証明され、これらの菌が原因菌の一部として研究の対象となっております。欧米ではLー型結核菌、ウイルス、自己免疫などとの関係の報告もあります。

5. この病気は遺伝するのですか

この病気は遺伝する病気ではありません。しかし地域差、人種差、家族内発生、難昜度などの差が報告されております。この事は色々の病気と 同様に罹りにくい人と、罹り易い人、また、治りにくい人と、治り易い人と云うような体質(感受性)の遺伝子があるためと考えられております。現在その点についてもHLA遺伝子の研究が進んでおりますが、いまだ明確に解析されてはおりません。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

症状は罹患臓器によって異なります。症状の出現頻度からみますと眼、皮膚、肺の順で多く、眼では霧視(霧がかかったようにぼんやり見える)、羞明(まぶしい)、飛蚊症(ちらちら視野に小さいものが移動する)などが出現します。皮膚では各種の皮疹が出ますが、結節型(円形〜楕円形の隆起した紅色〜暗紅色の鱗屑を伴う硬い皮疹)、局面型(円形〜楕円形の辺縁の隆起性で内面は萎縮性の柔らかいの皮疹)などが多いようです。肺病変の自覚症状は咳、呼吸苦などがあります。また心病変の自覚症状は不整脈が最も多く認められます。しかし約40%の患者さんは自覚症状に乏しく健康診断で発見されています。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

この病気は約70%は症状の有無に係わらず経過観察されています。治療の適応は難しい問題ですが、治療は症状の出現が毎日の快適な生活を障害するか、放置すると生命の危険が推測される時に行われます。一般には許されるかぎり3〜6カ月は細心の注意を払い経過観察し治療適応を決めます。しかしこの決定は熟練を要しますので専門医に相談されることが大切です。治療の第一選択薬はステロイドホルモンです。治療法は臓器の種類と重症度によって投与方法、量、期間、中止の目安などが異なります。また再発症例、難治化症例などでは免疫抑制剤なども使用されます。また心病変(特に完全房室ブロック)に対してはステロイド治療と共にペースメーカー装着が必要な症例もあります。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

この病気は2〜4年で無治療経過観察例の72%は治癒軽快致します。残りの23%は進行せずにそのまま継続しますが生活には支障はありません。残りの5%は長期経過後新しい臓器病変の出現か、現病変の増悪で治療を要するようになります。一方初診時より治療を必要とした症例は65.5%が治療によって軽快または治癒します。また、34.5%の症例は治療にも係わらず遷延化または増悪します。全サルコイドーシス患者さんの約10%の症例が治療中止が困難か、進行性の患者さんです。しかし死亡する症例は大変稀なことで、多くの症例は問題のない症例であることは大切です。稀な症例として心臓病変による突然死、肺病変が進行し肺線維症で死亡する症例もあります。

9. サルコイドーシスの診断と治療の未来は如何ですか

サルコイドーシスの診断は専門医であれば比較的容易に出来ます。しかし治療に関しては原因が不明な現在、真の治療は出来ません。但し、約9割の患者さんが治癒または通常の生活に支障を来すこと無く毎日を送っておられることは幸いです。次ぎに、治療に抵抗する症例の治療を解決することが問題になります。そのためには原因・病態の究明が急がれます。日本では起炎菌としてp. acnesやp.granulosumが現在研究の対象として精力的に研究されておりますし、諸外国も精力的に原因究明を行っておりますので近い将来解決されるものと考えております。病態は結核等と同様な細胞性免疫が病気の発生に関係があるものと考えられております。このような免疫機序に対してはステロイドホルモンが一番有効な治療薬です。しかしステロイドホルモンの使用に際してはその副作用が問題で、使用不能の患者さんや同薬に治療抵抗性の患者さんの治療のためには現在各種の免疫抑制剤が試されつつあります。その結果は十分に検討されていませんが、良好な結果を得たとの報告もあり、日本でも今後使用が普及するものと考えられます。

情報提供者

研究班名呼吸器系疾患研究班(びまん性肺疾患)
情報更新日 平成21年1月6日

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