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原発性胆汁性肝硬変(PBC)げんぱつせいたんじゅうせいかんこうへん(PBC)(公費対象)

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(よくある質問と回答)

1. 原発性胆汁性肝硬変(PBC)とは

この病気は英語でprimary biliary cirrhosisといい、頭文字をとってPBCと略して呼ばれます。PBCは、肝臓の中の細い胆管(肝臓でつくられた胆汁の流れる管)が慢性炎症により壊され、胆汁が流れにくくなり、肝臓内に胆汁が停滞することによって起こる病気です。歴史的に「肝硬変」という病名ですが、現在では軽い胆管炎で発見されることがほとんどです。胆管の炎症は年余にわたって経過し、進行すると胆汁性肝硬変にいたります。皮膚掻痒感、黄疸、食道静脈瘤、腹水、肝性脳症など肝障害に基づく症状がある症候性 PBCと、それらを欠く無症候性PBCとに分類されます。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

2006年度の難病の申請をして医療費の公費負担を受けている症候性PBC患者数は約14,000人います。これに基づいて無症候性のPBCを含めた患者総数は約50,000人と推計されています。

3. この病気はどのような人に多いのですか

男女比は1:8で、発症年齢は50〜54歳代が最も多く、中年以降の女性に圧倒的に多い病気です。

4. この病気の原因はわかっているのですか

始めにおこる肝臓の中の細い胆管の炎症には、自己免疫が関与すると考えられていますが、残念ながら今のところ詳しい原因はよく分かっていません。 また、ある種の環境的要因も関与すると言われています。

自己免疫病とは、体の免疫システムの不均衡によって生じる病気を総称します。すなわち自分自身の体の成分に対する抗体(自己抗体と呼ばれ、血液中に現れます)や免疫を司るリンパ球と、自己との過剰な反応により引き起こされる病的状態です。この自己免疫によっておきる病気は体の様々なところに現れますが、肝臓では、肝細胞が主に障害される自己免疫性肝炎と、肝臓内の胆管が主に障害されるPBCが知られています。

5. この病気は遺伝するのですか

他の自己免疫病と同じ様に、数%の患者さんでは親族内に同じ病期がみられる場合があります。遺伝的要因は何らかの形で関与すると考えられており、どのような遺伝子と関係しているのか研究が進められているところです。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

一般的にはまず全身の皮膚の痒みが現れ、数年後に黄疸が出現することが特徴的です(これら症状のある場合を症候性PBCと呼びます)。病気が進行し胆汁性肝硬変になると、他の原因(肝炎ウイルスやアルコ−ル)による肝硬変と同じ症状、例えば浮腫・腹水・食道胃静脈瘤の破裂による吐血や下血・肝性脳症などが現れます。

最近では、検診時肝機能検査値(ALP, γ-GTP)の異常をきっかけとしてみつかる、全く症状のないPBC(無症候性PBCと呼びます)が増えており、新しくPBCと診断される人の2/3以上を占めています。

またPBCには他の自己免疫病が合併することが知られています。日本ではこの病気の約15%にシェ−グレン症候群(乾燥性角結膜炎・口腔乾燥症)、約5%に慢性関節リウマチ、約5%に慢性甲状腺炎が合併するとされています。これら他の自己免疫病の症状が伴う場合もあります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

PBCに特別な治療として次のお薬があります。

(1)ウルソデオキシコ−ル酸

古くから漢方では”熊胆:くまのい”として知られており、胆石症や慢性肝臓病の治療に使用されてきました。この薬は胆汁の成分である胆汁酸の一種で、胆汁を流れやすくし肝臓の細胞を保護する働きがあります。1980年代後半よりPBCに有効であることがわかり、現在重症の黄疸の方を除いたほとんどの患者さんに使われています。副作用も下痢以外ほとんど認められず、長期にわたって飲むことができます。きわめてまれですが、最近新たな副作用として間質性肺炎が報告されています。

(2)ベザフィブラ−ト

高脂血症の治療に広く使われている薬ですが、細胞を障害する胆汁酸の毒性を弱める働きがあり、ウルソデオキシコ−ル酸の効果が悪い人にも有効なことがあります。厚生労働省の指導のもとに「難治性の肝疾患に関する研究」班に所属する肝臓専門医を中心として、その効果と安全性について確認するための臨床試験が行なわれ有効性が確認されています。

皮膚の痒み止めには次のようなお薬があります。

(1)抗ヒスタミン剤

痒みが軽い場合、アレルギ−の病気で一般によく使われる抗ヒスタミン剤の飲み薬や塗り薬が有効です。

(2)コレスチラミン顆粒

停滞している胆汁の成分を吸着する働きがあり、痒みに効果があります。ただし他のお薬も吸着することがありますので、飲む時間を主治医に相談してください。

その他長年にわたる胆汁の停滞によって、脂溶性ビタミン(A・D・E・K)やカルシウムの吸収が悪くなることがあります。時々これらの補給が必要となります。

この病気が進行して胆汁性肝硬変に至った場合は、他の原因による肝硬変と同じ治療を行います。また食道や胃に静脈瘤ができ、放置しておけば出血の危険性が高いと予測される場合、予防的に内視鏡や血管造影を使った治療が行われています。さらに進行して肝不全状態に陥り高度の黄疸が持続する場合、血漿交換やビリルビン吸着療法で一時的に黄疸を軽くすることもできます。これら様々な内科的治療を行っても、なおその効果がみられない場合、残念ながら日本ではまだ一般的治療法とはなってはいませんが、肝移植治療を検討します。まず生体部分肝移植の可能性を考えること、また脳死肝移植の登録のための準備が必要となりますので、主治医によく相談された上で専門の施設に紹介してもらうことをお勧めします。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

原発性胆汁性肝硬変と名づけられてはいますが、この病気と診断された方すべてが肝硬変になっているわけではありません。実際に肝臓の組織をとって顕微鏡的にみると完成された肝硬変の状態であるのは10%程度です。まだ肝硬変になっていない場合も全て同じように進行していくわけではありません。全く症状のない方の約70%、また痒みだけで黄疸の出ていない方の約80%は、10年以上病状が進行せず経過します。将来進行していくかどうかを事前に予測できる指標は残念ながら見いだされていません。いったん黄疸が現れても、その進みかたは緩やかで、高度の黄疸に至るまで数年を要します。最近の内科的治療効果によって、軽度〜中等度の黄疸の場合10年前に比べてその進行を遅らせることができたとの報告がでています。この様に同じ原発性胆汁性肝硬変という病名であってもその進行度や重症度には違いがあります。

情報提供者

研究班名難治性の肝疾患調査研究班(原発性胆汁性肝硬変)
情報更新日平成19年12月27日

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