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偽性低アルドステロン症ぎせいていあるどすてろんしょう

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1. 偽性低アルドステロン症とは

高カリウム血、低ナトリウム血、高レニン血、腎臓からの塩類喪失などアルドステロン分泌不全を疑わせますが、血中アルドステロン濃度は低下していないところから偽性低アルドステロン症と呼ばれます。偽性低アルドステロン症は遺伝性疾患であり、I 型とII 型に分けられます。I 型は腎尿細管でのアルドステロンの作用不全により、II 型は腎尿細管でのカリウム排泄障害による病態です。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

I 型偽性低アルドステロン症は1958年にはじめて食塩喪失症候群として報告され、これまで100例以上の報告がある小児の稀な疾患です。患者の家族に無症状の症例が存在します。

II 型偽性低アルドステロン症は、約50例の報告があり、本邦でも8例の報告があります。

3. この病気はどのような人に多いのですか

I 型偽性低アルドステロン症は、新生児後期から乳幼児期に多く発症します。

II 型偽性低アルドステロン症は、10〜20才に多く、2〜54才にわたって見られます。
男女比は3:2でやや男子に多いです。

4. この病気の原因はわかっているのですか

I 型偽性低アルドステロン症では血中アルドステロンが上昇しているにもかかわらず、尿中へのナトリウム喪失、カリウム排泄障害が認められ、腎尿細管でのアルドステロンの作用不全が原因と推定されました。アルドステロン受容体遺伝子の異常が疑われましたが、遺伝子連鎖解析からその可能性は否定されました。上皮性ナトリウムチャンネルは管腔より細胞内へのナトリウム輸送を行い、アルドステロンにより増量します。I 型偽性低アルドステロン症で上皮性ナトリウムチャンネル遺伝子異常が見つかり、遺伝子連鎖解析によりこの異常が原因であることが証明されました。

II 型偽性低アルドステロン症の原因はいくつかの説がありますが、腎接合部尿細管の管腔側のサイアザイド感受性ナトリウム/クロライド共輸送体でのクロライド再吸収亢進によると考えらています。

5. この病気は遺伝するのですか

I 型偽性低アルドステロン症は、遺伝性疾患で約20%は家族性に発症し、腎尿細管型は常染色体優性遺伝を、全身型は常染色体劣性遺伝形式をとりますが、散発性のものもあります。

II 型偽性低アルドステロン症も遺伝性疾患で常染色体優性遺伝形式をとります。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

I 型偽性低アルドステロン症で新生児後期から乳幼児期に発症する場合、哺乳力低下、発育不全、不機嫌、嘔吐、脱水、発熱などの症状を示します。生後急激に発症する時、低ナトリウム血によるけいれんやショックがみられ、高カリウム血による不整脈や心停止をきたすことがあります。尿中ナトリウム排泄増加を伴う低ナトリウム血症、高カリウム血症、高クロール性代謝性アシドーシス、高血漿レニン活性、高アルドステロン血がみられます。腎糸球体機能及び副腎機能は正常です。常染色体劣性遺伝形式をとる全身型では腎尿細管に加えて汗腺、唾液腺、大腸粘膜でもアルドステロンに対する不応を示します。羊水過多、閉塞性尿路疾患、急性腎盂腎炎などを合併するこがあり、また無症候性のものもあります。

II 型偽性低アルドステロン症は高カリウム血症、高クロール性代謝性アシドーシス、低レニン性高血圧症が主要な所見であり、血中アルドステロンは高くなく、尿中ナトリウム排泄増加を伴なわず、腎糸球体機能、副腎機能は正常です。歯や骨の発育不全、精神発達遅延や身体の奇形を伴います。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

I 型偽性低アルドステロン症の急性期の治療は大量のナトリウム補充と補液を行います。急激なナトリウム補充は細胞内脱水を起こしますので、補充の一部を食塩経口投与で行います。高クロール性代謝性アシドーシスに対して重曹を投与し、高カリウム血に対してケイキサレートを投与し、カリウム制限食にします。重症例ではインスリン・グルコース投与や交換輸血が必要となることがあります。慢性期の治療は乳幼児の大半で食塩2-10グラム/日 経口補充で電解質が正常になり、精神身体発育が改善します。11βHSD阻害薬であるCarbenoxoloneが腎尿細管でコルチゾールとアルドステロン受容体との結合を増加させ、ナトリウム保持に有効です。

II 型偽性低アルドステロン症(成人型)の治療はクロールの摂取制限すなわち食塩制限を行います。サイアザイド系利尿薬はクロール再吸収を抑制し、クロールおよびナトリウムの尿中排泄を促進し、体液量、高血圧は正常化し、その結果遠位尿細管でのカリウムと水素イオンの排泄が増加し高カリウム血、アシドーシスが改善します。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

I 型偽性低アルドステロン症常染色体優性遺伝形式の大部分では食塩喪失は年齢とともに改善し、無症状となり、数年後には食塩補充を中止できます。腎尿細管のナトリウム保持能の未熟性が改善するためと考えられています。予後は比較的良好ですが食塩喪失と脱水症状を繰り返し悪化するものもあります。

II 型偽性低アルドステロン症は食塩制限とサイアザイド系利尿薬の投与で予後は良好です。

情報提供者

研究班名内分泌系調査研究班(副腎ホルモン産生異常)
情報見直し日 平成22年2月3日

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