難病情報センター
HOME >> 研究班報告 >> 研究班紹介・名簿 >> 特定疾患の疫学に関する研究班

研究班報告

研究報告 … 横断的基盤研究グループ

特定疾患の疫学に関する研究班

研究班名簿

一般利用者向け

医療従事者向け

1. 疫学班のこれまでの活動

1972年 (昭和47年)厚生省(現厚生労働省)が初めて「難病対策要綱」を定めた年、「特定疾患疫学調査協議会」が組織されました。世話人が重松逸造先生(当時、国立公衆衛生院疫学部)と山本俊一先生(当時、東京大学医学部疫学)でした。当時の対象8疾患の研究班が共同して疫学研究を行うために組織されたものです。疾患を個別に対象とする研究班とは別に、疫学という方法、思考過程、そして(一次、二次、三次)予防という目的を横断的に適用する疫学班の歴史、伝統はここに始まっています。1976年(昭和51年)から「難病の地理病理学的環境科学的研究班」として正式な研究班となり、1979年(昭和54年)からは「厚生省特定疾患 難病の疫学調査研究班」1996年 (平成8年)から「特定疾患の疫学に関する研究班」となりました。班長は、1976年(昭和51年)-6年間:植松稔先生(当時、北里大学医学部公衆衛生学)、1982年 (昭和57年)-6年間:青木國雄先生(当時、名古屋大学医学部予防医学)、1988年 (昭和63年)-5年間:柳川洋先生(当時、自治医科大学公衆衛生学)、1993年 (平成5年)-6年間:大野良之先生(当時、名古屋大学医学部予防医学)、1999年(平成11年)-6年間:稲葉裕先生(当時、順天堂大学医学部衛生学)、2006年(平成17年)から現在の班長(永井正規)となりました。国の難病対策の歴史の初めから「疫学班」「疫学研究」の重要性は認識され、実践されてきました。疫学班の30余年の研究は「難病の保健医療福祉対策の企画立案、実施のために役立つ行政、科学的資料の提供と対策評価」(大野良之班長)を目指した研究であったと言うことができます。

2. 今後の取り組み

これからの疫学班の研究も、これまでのものを引き継ぎ、難病対策(難病の保健医療福祉対策)の実践(行政)に役立つ、従って難病の(一次、二次、三次)予防に資する成果を目指して進めたいと考えています。
具体的には、疫学の手法を用いて、我が国における各種難病の頻度分布を把握し、その分布を規定する要因を明らかにすること。さらに、患者の予後、重症度、QOLの程度を確認し、これとケア・サービス等との関連を明らかにすること。これによって難病の発生を予防し、進展・悪化を予防することを目標とします。そして、患者の保健・医療・福祉の各面における対策、施策を企画・立案・実施・評価するための厚生労働行政に科学的資料を提供します。
研究を遂行する上では、臨床各班との協力、患者様からの個人の情報の提供等が必須です。研究計画については倫理委員会の審査を受けるなど、疫学研究に関する倫理指針に則り、個人情報保護に十分配慮して研究に取り組んでいます。

 

(1)難病患者の頻度の把握
  1. 毎年いくつかの疾患について全国医療機関を対象とした全国疫学調査を実施し、1年間の受療患者数を把握しています。
  2. 人口動態統計、患者調査、地域保健・老人保健事業報告などの行政資料を用いて、特定疾患の死亡率、受療率、受給者数などを把握しています。
  3. 死亡率については諸外国と比較することによって、我が国の特徴を検討する研究を行っています。
(2)難病患者の臨床疫学像の把握
  1. 受給申請の際に提出される臨床調査個人票を用いて、発病年齢、ADL、介護度、身体障害者手帳取得状況、臨床症状等、患者の臨床像、疫学像を把握します。
  2. 特定大規模施設登録患者データベースを用いて、門脈血行異常症、大腿骨頭壊死症、神経線維腫症の患者の臨床症状の特徴を明らかにします。
(3)難病患者の予後の把握、予後を規定する要因の解明
  1. 全国疫学調査対象患者についての予後を把握し、予後予測因子を解明するための患者フォローアップ調査を実施しています。全国複数の保健所において医療受給申請した患者についてADL、QOLの経年変化とそれを規定する要因を明らかにする調査を実施しています。
  2. 特定大規模施設患者データベース登録患者の予後や治療法の有効性の把握に関する調査を行っています。
(4)難病の発症要因の解明
  1. 全身性エリテマトーデス、筋萎縮性側索硬化症、後縦靭帯骨化症、パーキンソン病、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎について、生活習慣、環境要因や遺伝的要因を含めた発症要因を明らかにするための症例対照研究を実施しています。

3. 主な研究成果

 
(1)難病患者の頻度の把握

全国疫学調査では、稀少難治性疾患まで含めた難病の受療患者数の推計を行い、難病の頻度を明らかにしてきました。過去22年間に調査された疾患の受療患者数をまとめた小冊子「全国疫学調査のまとめ」1)を刊行しました。最長32年間の死亡率を疾患別都道府県別に明らかにし、「難病の死亡統計データブック」2) 、「難病の死亡統計データブック 増補」3)、として刊行しました。多くの疾患では死亡率が下がっていましたが、一部の難病では死亡率が上昇していることが分かりました。また、死亡の地域集積性を明らかにし、「難病の死亡統計データブック−地理的分布−」4)として刊行しました。2002年(平成14年)患者調査を利用し、受療率、総患者数を疾患別年齢別に明らかにし、「平成14年患者調査による難病の受療状況データブック」5)として刊行しました。

(2)難病患者の臨床疫学像の把握

臨床調査個人票を用いた臨床疫学像については、2004年度(平成16年度)に「電子入力された臨床調査個人票に基づく特定疾患医療受給者調査報告書」6)としてまとめ刊行しました。一部の疾患では、臨床像の性差が見られました。

(3)難病患者の予後の把握、予後を規定する要因の解明
  1. IgA腎症、特発性心筋症、拡張型心筋症では、全国疫学調査対象患者のフォローアップの結果、予後予測因子を明らかにしました。IgA腎症については人工透析導入に関連する危険因子を検討し、予後予測スコアを作成しました。
  2. 臨床班研究者が把握する症例についてそのADL、QOL、予後を把握するための難治性疾患克服研究における治療法の有効性に関する調査を実施し、121の調査研究対象疾患患者約2万人についての情報を得て、ADL、治療方法、生存率の解析を行い、「難治性疾患克服研究における治療法の有効性に関する調査報告書」7)として刊行しました。
(4)難病の発症要因の解明

全身性エリテマトーデス、筋萎縮性側索硬化症、後縦靭帯骨化症では、症例対照研究を行い、いくつかの候補遺伝子を明らかにし、環境要因との関係を明らかにしました。

 

1)永井正規,柴葡q美,玉腰暁子編:全国疫学調査のまとめ.厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業 特定疾患の疫学に関する研究班,2006

2)土井由利子,横山徹爾編:難病の死亡統計データブック.厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業 特定疾患の疫学に関する研究班,2006

3) 土井由利子,横山徹爾編:難病の死亡統計データブック 増補.厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業 特定疾患の疫学に関する研究班,2007

4)土井由利子,横山徹爾編:難病の死亡統計データブック−地理的分布−.厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業 特定疾患の疫学に関する研究班,2008

5)横山徹爾,土井由利子編:平成14年患者調査による難病の受療状況データブック.厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業 特定疾患の疫学に関する研究班,2008

6)永井正規,太田晶子,仁科基子,柴葡q美編:電子入力された臨床調査個人票に基づく特定疾患医療受給者調査報告書.厚生労働省科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業 特定疾患の疫学に関する研究班,2005(http://www.nanbyou.or.jp/kenkyuhan/ekigaku.html

7)永井正規,柴葡q美,仁科基子,太田晶子,石島英樹,泉田美智子編:難治性疾患克服研究における治療法の有効性に関する調査報告書.厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業 特定疾患の疫学に関する研究班,2008

情報提供者

研究班名 特定疾患の疫学に関する研究班
情報更新日 平成20年4月28日

難病とは?
各疾患の解説
50音順 索引
疾患群別 索引
各相談窓口紹介
患者団体一覧

診断・治療指針
50音順 索引
疾患群別索引
研究班報告
研究班トピックス
臨床調査研究分野
研究奨励分野
患者さん・ご家族の支援のための情報

行政(厚生労働省)の動き
イベントのお知らせ
ダウンロード
リンク
治験情報(難病医学研究財団HP)
医療関連学会情報

お問い合わせについて
FAQ 代表的な質問と回答例
このサイトの使い方・印刷方法
トップページへ
財団法人難病医学研究財団
PDFをご覧になるにはAcrobat readerのプラグインが必要です。お使いのパソコンにAcrobat reader がインストールされていない場合はダウンロードして下さい。
Get Adobe Reader