代謝疾患分野|HMG-CoAリアーゼ欠損症(平成22年度)

HMG-CoAりあーぜけっそんしょう
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1. 概要

ミトコンドリアに存在するHMG-CoAリアーゼの欠損症で、肝臓でケトン体産生ができないこと、およびロイシンの中間代謝も障害される疾患である。

2. 疫学

世界で100例以上、日本では5家系報告あり。

3. 原因

ミトコンドリアHMG-CoAリアーゼ遺伝子の異常により、本酵素活性 の低下により、ケトン体産生ができず、またロイシンの中間代謝が障害され、非ケトン性低血糖と代謝性アシドーシスを来す疾患であり、常染色体劣性遺伝性疾 患である。ロイシンの中間代謝のブロックにより、尿有機酸分析で、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタル酸、3-メチルグルタコン酸などの特徴的有機酸が排 泄され化学診断可能と言われている。

4. 症状

通常は急性発作で発症。Reye様症候群を呈するともいわれる。嘔吐、筋緊張低下、嗜眠傾向、昏睡、痙攣などで発症。低血糖と代謝性アシドーシス、高アンモニア血症を呈する。

5. 合併症

20%は発作時死亡すると言われている。発作により精神運動発達遅滞をていすることがある。心筋症合併の報告もある。

6. 治療法

重篤な発作を起こさないことが重要。そのために、飢餓を避け、嘔吐、発熱時などの食事摂取不良、異化亢進時には速やかなグルコース補給。ロイシンの制限、カルニチン投与。発作時にはグルコース投与、アシドーシスの改善。

7. 研究班

先天性ケトン体代謝異常症(HMG-CoA合成酵素欠損症、HMG-CoAリアーゼ欠損症、β-ケトチオラーゼ欠損症、SCOT欠損症)の発症形態と患者数の把握、診断治療指針に関する研究班