免疫系疾患分野|分類不能型免疫不全症(平成22年度)

ぶんるいふのうがためんえきふぜんしょう
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1. 概要

原因が特定できない低γグロブリン血症の総称で、WHO分類では抗体産 生不全症の中に位置する。ヨーロッパ免疫不全症学会によれば、「2歳以上(多くは10代以降)で発症する低γグロブリン血症で、同種血球凝集素の欠損、あ るいはワクチンへの低反応を示し、既知の免疫不全症ではない疾患」とされている。大半では記憶B細胞及び形質芽細胞の著しい減少を認める。

2. 疫学

平成21年度の全国調査では208名の患者が確認されている。

3. 原因

原因は不明であるが、ICOS、TACI、BAFF-R、CD19、 CD21、CD81などの分子異常が同定されている。大半の分類不能型免疫不全症についてはしかし、原因がいまだ不明である。いくつかの疾患亜群が混在し た症候群であり、現時点で判明しているもの以外に、最低10種類以上の責任遺伝子が存在すると予想されている。

4. 症状

様々な部位、とくに上下気道にての頻回に細菌感染症に罹患する。個々の感染は重症化しやすく、治癒が遷延する。髄膜炎、敗血症などの重症感染症にも反復罹患する。多くは10代以降に発症するが、年少者での発症や、50歳代以降の発症例も認められる。

5. 合併症

約30-50%が自己免疫疾患を合併し、リンパ系悪性腫瘍、消化器系悪性腫瘍などの合併も多いとされている。平成21年度の全国調査では自己免疫疾患の合併は18%、悪性腫瘍の合併は9%であったが、40才以上ではそれぞれ42%、22%の罹患率であった。

6. 治療法

定期的なγグロブリン補充療法が治療の主体である。感染症時には抗菌薬投与が行われる。自己免疫疾患に対しては免疫抑制薬投与が行われる。

7. 研究班

成人型分類不能型免疫不全症の診断基準・診断方法の確立及び治療方法の開発に関する研究班