進行性下顎頭吸収(PCR)(平成21年度)

しんこうせいかがくとうきゅうしゅう
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1. 概要

進行性下顎頭吸収(Progressive Condylar Resorption: PCR)は進行性の下顎頭の形態吸収変化とそれに伴う著明な同部の体積の減少と定義され、下顎枝高径の短縮・下顎後退・下顎の時計回りの回転による前歯部 開咬などを呈する病態といわれている。またPCRの患者は相対的に下顎が小さく後退位にあるため、単なる上顎前突症もしくは下顎後退症と診断され、不適切 な歯科矯正治療を受けていることが多い。これらに加えて顎矯正手術による一期的な下顎の前方移動に伴う下顎頭への負担過重なども発症原因として指摘されて いる。

2. 疫学

1,000人~2,000人

3. 原因

原因は全く不明である。年齢や基礎疾患などの状態によるという説と、下顎頭にかかる異常な圧迫、牽引力などによるという説が有力で ある。本研究の一つの目標としてPCRの診断基準を作ることにある。血液・生化学的・尿による臨床検査、細胞生物学的病理検査、骨・軟骨形態学的検査、な どに正常個体との比較試験を行い、それらの疾患の診断基準を定め疾病の軽重、治療効果などを検討する。

4. 症状

進行性の下顎頭の形態吸収変化とそれに伴う著明な同部の体積の減少と定義され、下顎枝高径の短縮・下顎後退・下顎の時計回りの回転による前歯部開咬などを呈する。すなわち前歯部で咬めない状況になる。

5. 合併症

相対的に下顎が小さく後退位にあるため、単なる上顎前突症もしくは下顎後退症と診断され、不適切な歯科矯正治療を受けていることが多く、かえって症状の進行をまねく場合がある。また前歯部で咬めないことから臼歯部に咬合力が集中し、咬合痛や顎関節部痛などをまねく。

6. 治療法

全く不明であるが、咬合位を安定化するとよいといわれている。すなわち適切なマウスピースの装着や、顎矯正手術などによる咬合改善などが考えられる。

7. 研究班

進行性下顎頭吸収の診断基準策定とその治療に関する研究