ポルフィリン症(指定難病254)

ぽるふぃりんしょう
 

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光線過敏があり、ポルフィリン症が疑われると診断されましたが、どのようにして診断を確定できますか?

ポルフィリン症には現在9の病型があります。それぞれの病型に共通な症状と、ある病型に独特な症状がありますが、症状だけで診断するのは難しい場合が多いです。まずは血液、尿を材料にしてポルフィリン体あるいはその関連物質が増加しているかどうかを調べます。ポルフィリン体にはいくつかの種類があり、どの物質の量が増えているのかを調べると、どの病型であるかをおよそ決めることができます。最終的には遺伝子診断で確定する必要があります。遺伝子検査は保険適応で可能です。主治医にご相談ください。

晩発性皮膚ポルフィリン症と診断されましたが、自分の子供も同じ病気になるでしょうか?

晩発性皮膚ポルフィリン症は他の病型と違って大部分が遺伝性ではありません。欧米では晩発性皮膚ポルフィリン症の10-30%が遺伝性といわれていますが、日本では遺伝性の割合ははるかに小さいと考えられます。先ずは症状が出ているご本人の遺伝子診断を行って、遺伝性であるかどうかを調べてみるのが良いでしょう。

急性ポルフィリン症のような症状があります。どのような検査をすれば良いのですか?

急性ポルフィリン症は一般的な血液検査では明らかな異常が出ないことが多いです。症状はポルフィリンの原料となるδアミノレブリン酸(ALA)やポルフォビリノーゲン(PBG)が大量に体に蓄積することで生じるので、症状が出ている時に尿中のALAやPBGを測定することで診断されます。

急性ポルフィリン症は何らかの誘因で発症すると言われています。どうしてですか?

ポルフィリン症はヘムを作る過程で使われる酵素の異常によって生じます。酵素異常は、患者さん毎に異なりますが、完全にその作用が無くなっているわけでは無く、ある程度の機能が維持されます。そのため普段の生活では健康障害を生じない場合がほとんどです。しかしながら、何らかの誘因でこの酵素の機能が抑制されたり、より多くの働きが必要になったりした場合に、酵素がそれに対応しきれずALAやPBGが体に蓄積し急性症状を生じます。

急性ポルフィリン症の急性症状の誘因について教えてください。

急性ポルフィリン症は、ヘムを作る過程で使われる酵素の働きを抑えたり、ヘムが過剰に必要となったりする状態になると急性症状を生じます。この状態を誘因と言いますが、特に注意が必要なのが薬物です。お薬の中にはこの酵素の働きに影響するものがいくつかあり、それらの投与が誘因になって発症する場合があります。お薬の影響には個人差がありますので、他の病気で投与される際は、慎重に薬剤を選択し投与後の経過観察が必要です。また、女性は生理で生じるホルモンバランスの変化が誘因になることがあります。女性はこのような状況を考慮した上で、主治医の診察を受けてください。生理が誘因となって度々急性症状が生じる場合は、一時的に薬剤で生理を停止させることもあります。また、過度のストレス、飢餓、飲酒、感染症も酵素に影響いたします。普段からこのような誘因を回避するように心がけてください。

ポルフィリン症は遺伝性の病気とありますが、どのような時に遺伝子検査をするのですか?

ポルフィリン症の診断は、一般的に赤血球中および尿中のポルフィリン体あるいは前駆体の測定で行いますが、それだけでは病型はわからない場合があります。そのため病型を診断する場合に遺伝子検査が行われることがあります。また、ポルフィリン症の患者さんのご家族の中に、まだ発症していないポルフィリン症の潜在者がいる可能性があります。発症前に潜在者を見つけて、発症を予防するために行う場合があります。

 

情報提供者
研究班名 神経皮膚症候群および色素性乾皮症・ポルフィリン症の学際的診療体制に基づく医療最適化と患者QOL向上のための研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日 令和5年11月(名簿更新:令和5年11月)