先天性グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)欠損症(指定難病320)

せんてんせいぐりこしるほすふぁちじるいのしとーる(じーぴーあい)けっそんしょう

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

この病気はどのようにして診断するのですか?

生まれつきの原因不明のてんかんや発達の遅れがある場合、採血をしてフローサイトメトリーという方法で白血球表面のGPIアンカー型タンパク質であるCD16の量を測定し、低下していればIGDと診断できます。一般血液検査のアルカリホスファターゼの値が高値であるとより疑われます。30個の遺伝子のどの遺伝子に変異があるか診断する為には、血液から遺伝子を抽出し遺伝子の配列を調べて変異を見つけます。変異遺伝子の種類によってはフローサイトメトリーでCD16の低下がみられないこともあるので、症状から疑わしい場合には、フローサイトメトリーで低下がみられなくても遺伝子解析が診断に必要な時もあります。

IGDの子供がいる場合に、次の子供もIGDになることはありますか?

多くの患者さんは両親から病気と関係する遺伝子を1本ずつもらって発症します。その確率は1/4です。ですから両親が保因者である場合、次のお子さんも1/4の確率で病気になります。変異がわかっていれば技術的に胎児診断は可能です。PIGA欠損症に関しては、母親のX染色体上のPIGA遺伝子に変異がある場合がほとんどですが、男児のみ1/2の確率で病気になり、女児は発症しません。まれに母親のPIGA遺伝子に変異が無い場合があり、その場合、突然変異によって発症したと考えられますが、その場合は次のお子さんも突然変異がおこる確率は低く再発率も低いと考えられます。稀に性腺モザイクと言う現象があり母親に血液の遺伝子検査で変異が同定されない場合でも次のお子さんに発症する場合もあります。

乳児期にIGDと診断されました。これからの発達はどのようになるのでしょうか。

どの遺伝子に変異があってそれがどの程度機能に影響するかによって、症状が大きく異なります。またけいれん発作がうまく投薬でコントロールできるかどうかによっても以降の発達が左右されます。ビタミンB6(ピリドキシン)の投与によってけいれん発作が抑えられ、発達がよくなるという症例もあるので小児の神経疾患を診療している医療機関で、てんかんの治療を含めた支援を受けながら発達を見守ることが必要です。

患者会はありますか?

毎年大阪大学で開催しています。患者さんとそのご家族、治療に関わっている小児神経科医や研究者の皆で話し合い、交流を深める良い機会ですので是非ご参加ください。御要望があれば、他の地域でも開催したいと考えています。日程等は下記の疾患ホームページでご確認ください。
大阪大学微生物病研究所
http://igd.biken.osaka-u.ac.jp/

情報提供者
研究班名新生児スクリーニング対象疾患等の先天代謝異常症の成人期にいたる診療体制構築と提供に関する研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日令和5年12月(名簿更新:令和5年6月)