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カーニー複合(指定難病232)

かーにーふくごう

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

○ 概要
 
1.概要
カーニー複合(Carney複合)は、粘液腫、皮膚の色素斑、内分泌機能亢進状態を合併した症例をまとめ、1985年に名付けられた疾患概念であり、このうち2つ以上の症候があれば臨床的に診断されてきた。クッシング症候群、先端肥大症、女性化乳房、思春期早発症、内分泌腺腫瘍など内分泌疾患の合併が多く、それらを契機として診断に結びつくことが多いのも特徴とされる、多発性腫瘍症候群である。
 
2.原因
報告症例の約半数が常染色体優性遺伝形式で、残りは散発例である。原因遺伝子座位として2p16 (CNC type2)あるいは17q2(CNC type1)との連鎖が示唆されており、本疾患には異質性がある。さらに、CNC type1の原因遺伝子としてPRKAR1Aprotein kinase A regulatory subunit 1-α )が2000年に同定されているが、CNC type2の原因遺伝子は未だ同定されていない。
 
3.症状
症状、徴候は生下時に出現していることもあるが、診断時の平均年齢は20歳過ぎとされる。
1)   皮膚病変
a.点状皮膚色素沈着
b.皮膚粘膜粘液腫
c.青色母斑、類上皮性青色母斑(多発性)
2)   心病変
心粘液腫
3)   内分泌病変
a.原発性色素性結節状副腎皮質病変(primary pigmented nodular adrenocortical disease:PPNAD)
b.成長ホルモン(GH)産生腺腫による先端肥大症
c.甲状腺腺腫・癌
4)   乳房病変
a.乳房粘液腫症
b.乳管腺腫
5)   男性性器病変
大細胞石灰型セルトリ細胞腫(large-cell calcifying Sertoli cell tumor:LCCSCT)
6)   末梢神経病変
砂腫状黒色神経鞘腫(psammomatous melanotic schwannoma:PMS)
7)   骨病変
骨軟骨粘液腫
 
4.治療法
多様な腫瘍の発生に注意し、早期発見に努めることが重要である。通常、心粘液腫に対しては外科的切除、PPNADによるクッシング症候群に対しては両側副腎摘除、皮膚及び乳房粘液腫に対しては外科的切除、GH産生下垂体腺腫に対しては外科的切除もしくはソマトスタチンアナログの併用が行われる。
 
5.予後
診断時の平均年齢は20歳とされ、多発性腫瘍の治療に奏効すれば通常の寿命を全うできるものと思われるが、一部は若年死する。また、罹患男性では妊孕性が低下している可能性があるが、明らかではない。
 
○ 要件の判定に必要な事項
1.  患者数
100人未満
2.  発病の機構
不明
3.  効果的な治療方法
未確立(外科治療などの対症療法のみ。)
4.  長期の療養
必要(進行性で、年齢が進むにつれて合併症が増えていく可能性がある。)
5.  診断基準
あり(研究班作成の診断基準。)
6.  重症度分類
1)又は2)に該当するものを対象とする。
1)手術適応者及び術後1年間以内の患者。
2)下記の中等症以上を対象とする。
 
○ 情報提供元
「Carney複合の全国調査ならびに診断指針等の作成に関する調査研究」
研究代表者 旭川厚生病院 小児科部長 向井徳男
 
 
<診断基準>
 
カーニー(Carney)複合の診断基準
 
A.主要徴候
1.点状皮膚色素沈着(口唇、結膜、眼角、外陰部)
2.粘液腫(皮膚、粘膜)**
3.心粘液腫**
4.乳房粘液腫症**、または脂肪抑制MRIで乳房粘液腫症を疑わせる所見。
5.原発性色素性結節状副腎皮質病変(PPNAD)**、またはデキサメサゾン負荷試験(Liddle法)における尿
中グルココルチコイドの奇異性陽性反応。
6.成長ホルモン産生腺腫**による先端肥大症。
7.大細胞石灰型セルトリ細胞腫**、または精巣超音波検査での石灰化像。
8.甲状腺癌**、または若年者における甲状腺超音波検査での低エコー多発結節。
9.砂腫状黒色神経鞘腫**
10.青色母斑、類上皮性青色母斑(多発性)**
11.乳管腺腫(多発性)**
12.骨軟骨粘液腫**
 
点状皮膚色素沈着については、診断に際し、当該疾病に関する十分な経験が必要であるため、皮膚科専門医による診察が望ましい。)
**病理診断で確定したもの)
 
 
B.補足診断項目
1.一親等以内にカーニー(Carney)複合罹患者の存在
2.PRKAR1A遺伝子の不活化変異
 
 
<診断のカテゴリー>
(1)又は(2)を満たすこと。
(1)A項目のうち2つ以上。
(2)A項目の1つと、B項目の1つ以上。
 
 
 
 
 
<重症度分類>
 
1)   又は2)に該当するものを対象とする。
 
1)手術適応者及び術後1年間以内の患者。
 
2)下記に示す項目のうち最も重症度の高い項目を疾患の重症度とし、中等症以上を対象とする。
軽症:血清GH濃度 1ng/mL未満
血清IGF-1濃度 SDスコア +2.5未満
治療中の合併症がある。 
 
中等症:血清GH 濃度 1ng/mL以上2.5ng/mL未満
血清IGF-1 濃度SD スコア +2.5以上
臨床的活動性(頭痛、発汗過多、感覚異常、関節痛のうち、2つ以上の臨床症状)を認める。
 
重症:血清GH 濃度 2.5ng/mL以上
血清IGF-1 濃度SD スコア +2.5以上
臨床的活動性及び合併症の進行を認める。
 
 
※診断基準及び重症度分類の適応における留意事項
1.病名診断に用いる臨床症状、検査所見等に関して、診断基準上に特段の規定がない場合には、いずれの時期のものを用いても差し支えない(ただし、当該疾病の経過を示す臨床症状等であって、確認可能なものに限る。)。
2.治療開始後における重症度分類については、適切な医学的管理の下で治療が行われている状態であって、直近6か月間で最も悪い状態を医師が判断することとする。
3.なお、症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該当しない者であるが、高額な医療を継続することが必要なものについては、医療費助成の対象とする。
 

 


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情報提供者
研究班名 副腎ホルモン産生異常に関する調査研究斑
研究班名簿  研究班ホームページ 
情報更新日 令和元年6月